パザパ

パザパ pas a pas ・・・フランス語で一歩一歩。頑張らずでも一歩一歩前に進める日々を願って・・・

持久戦の日々が続いています

コロナウイルスの感染拡大は世界規模で広がり、世界の主要都市での封鎖が相次いでいる。日本は今のところギリギリで持ちこたえているけれど、結局オリンピックは延期が発表された。パンデミックはどこまで拡大して行くのか。重くて暗い雲が全世界を覆い尽くしている。小さな一市民の私はどうやって乗り越えたら良いのだろうか?自問の日々が続いている。

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そんな時に目にした山中伸弥教授の言葉「コロナウイルスとの闘いは短距離走ではなくてマラソンです。1年は続く長いマラソンです(中略)国民の賢い判断が求められています」少し疲れたこころを立て直す。冷静に物事を捉え、自分でしっかりと考え、いたずらに恐れず、しかし過信せず、正しく恐れる姿勢を忘れずに、長い闘いを乗り越えていこうと自分に言い聞かせる。聖火のトーチリレーが中止になった。その走者だった103歳の箱石シツイさんの言葉「見送りはがっかりですが、戦争中の苦労を思えば何でもありません」落胆してもそこに立ち止まらない。気持ちを切り替え前向きに考える姿に、いっぱい教えられる。ちゃんと苦労をしてそれを乗り越えた人は本当に強いなぁ。

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そうだね。こうしてちゃんとご飯を食べられていて、温かいお家で日々過ごせていることを感謝しなくは。この難局を乗り越えたとき、きっと私たちはもっと強くなっている!

こんな時だからこそ、自分のこころとちゃんと対峙しようと、私が属しているヨーガ療法学会の聖典配信学習を続けている。
毎回ヨーガの聖典から様々な課題が与えら、過去を振り返りながら自分のこころを整理しレポートにまとめていく。その過程で自分のこころのくせに気づいたり、過去の出来事への解釈を修正したり、新たに自分に出会う、新たな気づきの時間でもある。

「寝食を忘れるほど集中した体験について」例えばこんな課題が与えられたら、あなたならどう答えますか?目を閉じて振り返り、そのときの自分を思い出してみて下さい。どのように集中していったか・・・

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私は・・・・次回はそれについて書いてみます。
2年前の冬、夫が植えたチューリップの球根が1年前の春、見事に咲いた。花が終わってその球根を網に入れて夫が軒下に吊るしていた。その球根を夫が亡くなった昨年末庭に植えた。その一つからやっと花が咲いた。一輪だけ。きっとこれは夫が意地で咲かせたのだと思う。意地っ張りの人だったから。チューリップが私を観ているそんな気がする。
さくら咲く2020年の春、みんなと一緒に桜を愛でることは出来ないけれど、私だけの桜を楽しみましょう。

◽️最近観た映画 「Fukushima50」若松節朗監督

◽️最近読んだ本  「 i (アイ)」西加奈子

 

 

弥生3月の空を見上げて

弥生3月の空の下、う〜んと背伸びをして「よっしゃ!」と走り出したい気分だけれど、世の中はコロナウィルスの感染拡大は収まらず、暗雲立ち込めたまま自粛の日々が続いている。3月に入り私の仕事場であるスポーツクラブや公的施設は全て活動停止となった。スタジオや近くの集会所でのヨーガは細々と続けているけれど。突然に訪れた休暇?の日々に戸惑いながら、こんな風に時間をゆっくりと使えるのは何十年ぶりだろうかとずっと走り続けて来たことに改めて気づく。

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そうだずっと行きたいと思っていた南の島に行こうか。飛行機やホテルや行きたい場所や食べたいものやネットを使って調べ尽くした。白い砂浜、目の前には透き通るような青い海が広がって、とすでに行った気分にすっぽりと浸る。で、やっぱりやめておこう、今無理していく必要もないしと思いなおす。切り替えの早さも結構自慢かな。そうだ!ヨガの智慧!「今出来ることに全力を尽くす」で、今出来ることとは何だろう?ゆっくり静かに自分に問いかける。

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昨日の雨が嘘のように晴れ渡った日曜日の朝、そうだ山に登ろう!と思った。出来れば山頂からスカッとするような景色が広がる山が良い。で、ありました、ぴったりの山が。糸島にある立石山!いざ糸島へと車を走らせる。
立石山は芥屋の海岸を通り過ぎたところから登山口が始まる。山に登るのは何年振りだろう。阿蘇烏帽子岳に登って以来だから、多分5年振りくらいか。標高209,5m、約40分の登山ならと少し甘く見ていたことに登りはじめて早速気づかされる。名前の通りかなりハードな岩場が続く。息が上がる。汗が流れる。何度も休憩をしながらやっと頂上へ!と思いきや山頂はまだ200m先の表示。

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「え〜〜」と言いながら正直やっとの思いで到着!!いきなり広がった絶景に「え〜!なんだこの景色の素晴らしさは!」ずっと感嘆の声を上げっぱなし、テンション上がりっぱなし!春の優しい陽光にキラキラと輝く海。岩の上に座りしばし見惚れる。地上の憂さを全て忘れて、大自然の懐にすっぽりと包み込まれていく。こころの奥がじわっと緩む。「そうだ、山に登ろう!」そう閃いて即行動に移した自分を褒めてあげた。

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朝日新聞の「日曜に想う」(大野博人編集委員)にアルベート・カミュの名作「ペスト」が取り上げられていた。この小説は、今の世界で起きていることのルポのようだと記している。主人公リユウ医師の言葉が胸に響く。
「笑われる考え方かもしれないが、ペストに対するただひとつの闘い方は誠実さです」記者に誠実さはと問われこう答える。「自分の職務を果たすことだと思っています」
私の職務とは・・・そうだ、こんな時だからこそヨーガの智慧を誠意を持って伝えなくては。

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「ユーチューブで配信したら」娘の提案にそうかぁ、その手があったかとこれまた即行動に移す。私の生徒さん限定配信ということで「ヨーガで自然治癒力をアップしよう!NINOのおうちヨーガ」を自宅の居間で一人で撮影してアップした。「重いこころがわっと軽くなりました」「体もコチコチ、元気が出ない感じでしたがこれで頑張れます」などなど、早速感謝のメールがたくさん届く。よかったなぁ、少しでも私のヨーガが役に立てて。

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「誠意を持って職務を果たす」どんな細やかなことでもいい、今出来ることを丁寧にやっていこう。こんな日々もいつかは終わりがやってくる。その時に少しでも成長してる自分だったらいいな。P.T.G (ポスト・トラウマ・グロス)逆境を乗り越えて成長する。「よっしゃ、頑張ろう!」庭にそっと咲く花々を眺め、そう自分にエールをおくる。

*最近観た映画  「スウィング・キッズ」 D.O主演

*最近読んだ本  「メインテーマは殺人」アンソニーホロヴィッツ
「もしも一年後この世にいないとしたら」 清水 研 

節分が過ぎて、やっと私の1年が始まりました

いつ以来だろう、多分1年以上振りにブログを開いてみた。そして丁度1年前の1月の終わりに「にこにこの2月が始まりますね」と投稿して以来だということを知った。ブログのことを実はすっかり忘れていた。それほどに2019年は私にとって、全く余裕のない激動と試練の1年だった。3年半、がんと闘ってきた家人が昨年9月についに力尽き旅立った。術後余命1年から3年と言われていた。昨年8月、余命1ヶ月の最終宣告を受けた時は、よく今日まで頑張ってくれたなぁと、あまり動揺せずにその事実を受け止めることが出来た。

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この3年半、家人が望むところに出来るだけ一緒に旅をした。家族みんなで温泉にも随分出かけた。仕事は続けたいというので、亡くなる2ヶ月前まで仕事にも行っていた。最後の1ヶ月は緩和病棟のある病院に転院して手厚い看護を受け、またゴルフに行きたいと願い続けた。そしてロウソクの炎が静かに消えるように、穏やかに眠るように逝ってしまった。「ありがとう」というのが最後の言葉だった。告別式には100名以上の人たちが参列して下さった。「我が人生に悔いなし」が口癖だった。本当に悔いなく見事に生き切った人生だった。

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あれからもう5ヶ月が経った。ついこの間だったような気がするのだけれど。だんだん衰弱していく家人に何も出来ず、ただ背中をさすり続けた日々を相変わらず何度も思い出す。少しでも食べて欲しいと願うことが、むしろ苦しみの日々を伸ばすことになることを知りつつも、一口でも食べて欲しいと、1日でも生きて欲しいと願った日々。思い出すたびに涙が流れる。そんなことを何度も繰り返して、日々が過ぎ去っていく。

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そしてやっとそんな思いを整理して向き合うことが出来るようになった。悲しみは決して薄まることなく、私の胸の奥に在り続ける。時々その悲しみが込み上げてきて、ひとり泣くこともある。泣いた後はカッと眼を見開いて空を見上げる。大丈夫!私はひとりでちゃんと生きていけるよ!そう空の人に宣言する。

「自分が死んだ後に忘れられてしまうのが怖い」看護師さんからそうご主人が言われてましたよと聞いた。忘れるわけないでしょ。私が生きている限り、あなたは私の中で私と一体となって生き続ける。そして私の亡き後には子供たちの中に。肉体というものはなくなっても、その魂はずっとずっと生き続ける。そう私は強く思う。

冷たい雨が降る日、逝ってしまった私の大切な人たちを想い少し涙する。明日はきっと晴れるかな。節分が過ぎ、やっと私の1年が始まった。

*最近観た映画 「パラサイト」ポン・ジュノ監督

にこにこの2月が始まりますね

すっかりすっかりご無沙汰になってしまったブログ、ほぼ4か月振りに開いたらブログが消滅寸前!?になっていた。そうだよね。あまりにも長すぎる不在ゆえ、多分もう忘れ去られているだろうなと思いつつながら。気が付けば平成最後の年2019年も、もう1ヵ月が過ぎ去り、早くも節分が近づいている。年は明けたものの、エネルギー的には低迷気味で、この節分を機に運気はやっと徐々に上昇する。その流れに上手く乗って、2019年をしっかり始動しよう。2月はにこにこ笑顔を忘れずにひたすら上昇!!と、こころに誓う。公私ともに私を取り巻く状況も少しずつ落ち着いてきて、じっくり歩き始めるときがやっと始まる。

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先週の日曜日はたぶん1年振りくらいに八女のお寺での瞑想会に参加した。前日降った雪がまだあちこちに残る山道を車で登っていくと、陽に照らされた道路から湯気のように水蒸気が湧き上がっていた。まるで大地が呼吸しているようだなと思い、なんだかわくわくした。登るほどにピーンと張りつめた空気に身を引き締められ、清められながら、見上げると生い茂る木々の向こうに、キラキラと輝く真っ青な空が広がっていた。下から登ること20分、たどり着いた飛形山(449.1m)の山頂近くにある神養寺のお庭には、真っ青な空を背に蝋梅の黄色い花が少し俯き気味に咲いていた。

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久しぶりに仲間に会い、まずは15分座る。1年振りの瞑想会なのでスムーズに集中できるかなとの不安感は、眼を閉じた瞬間にすぐに消えた。ご住職の変わらぬ誘導で、不思議なほどにすんなりと自分と向かい合うときを素直に受け止めることが出来た。それから20分の瞑想を3回行った。参加している仲間の中に、昨年聖地カイラス巡礼を行った先輩がいた。その先輩のエネルギーを座っている間ずっと感じ続けていた。どんなエネルギーかと問われてもこうですと答えられないのだけれど。包まれ、守られているような温かさを感じながら、こころが満たされていく、至福の時間だった。(下の写真はその先輩からいただいた聖地カイラスの麓に広がる湖)

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住職が言われていた「安寧」の境地の入り口は見えたけれど、「静謐」の境地には限りなく遠い自分を感じた。「静謐」とはどんな世界なのだろう。澄み切っていて、落ち着いていて、限りなく静かであること。きっとこの写真のような世界かもしれない。そこに至れたらどんなに幸せだろうか。言葉や理屈で説明できない世界に至りたい、近づきたいという思いで座り続ける。瞑想の入り口にやっと立っているに過ぎない私。その道は限りなく遠い。頭の奥の霧がすっきりと晴れて、満ち足りた思いを胸にお寺を後にした。少しご無沙汰していた瞑想を今年はしっかりやっていこう!そうこころに誓う。

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先日北九州市立美術館でジョルジュ・ルオーの作品を観た。ルオーは熱心なカトリック信者で、キリストの聖顔や、聖書の中の逸話を描いた作品を描き続けた。宗教という魂が確かな世界があるから、迷いなくこんなにも絵の輪郭を確かに描けるんだ、そしてその輪郭を埋める世界をこんな風に自由な色彩で描けるんだ、と感動の思いの中で思った。絵の前に立っていると、こころが清く癒されて、じんわりと目頭が熱くなる。そして「ありがとう」感謝の思いが溢れてくる。好きな世界で満たされた良いひと時だった。
3年前の今日、母が逝った。「いつもそばにいて気づかなかった貴方の大きさ いつもそばにいて返せなかった感謝の思い 別れをくり返すたびに折れない心でいれたのは 愛という真心に包まれていたから」かって出逢った「別れ」という言葉を思い出した。包まれていた母の愛があるから、どんな苦難も折れない心で立ち向かえるような気がする。感謝の思いと共に、久しぶりに「お母さん」と、何度もそう声に出して呼んでみよう。2月は母の誕生月でもあるから、ずっと母を身近に感じ、力を貰って過ごしていきたい。変わらずの一歩一歩。こころ尽くして歩いていこう。

★最近読んだ本 「夜のふたりの魂」 ケント・ハルフ著

        「アルケミスト 夢を旅した少年」 パイロ・ユエーリョ著

★最近観た映画 「私は マリア・カラス」 トム・ヴオルフ監督

 

秋の風に吹かれて

猛暑の長い長い夏だったから、申し訳ないと思ったのか、残暑はさほど厳しくなく、意外にすんなりと秋がやってきた。すっと高くなった空にゆったりとたなびく雲、いつの間にかやってきた秋のすべてが優しく見える。最近買い替えた車を飛ばして、どこかに行きたいなぁ!旅こころを誘う秋。先日の連休は京都からやってきた息子夫婦と一緒に、高原の秋に会いに行った。まずは九重町にある大吊り橋へ。ここに来るのは6年振り。

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相変わらずたくさんの人で賑わっていたけれど、その8割近くが中国や韓国の観光客!様々な言語が飛び交う中、ゆらゆら揺れる橋を渡り、立ち止まっては山々を眺める。そういえば亡き母も大吊り橋が出来てすぐくらいに、村のバス旅行でこの橋を渡ったと話していたっけ。あの頃は母も元気に歩いていたんだね。「お母さん、見てますか」景色の向こうに母の姿を探していた。

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高原はすっかり秋だった。ススキの穂が風に気持ちよさそうに揺れ、遠くの山々と空が溶けあうような淡い光の中にあった。久住高原のキャンプ場はテントの家が建ち並び、家族連れで賑わっていた。子供が小さいときにここでキャンプしたことがあったなぁ。昔々の日々を久しぶりに思い出す。「夜、温泉にも行ったよね」「え~行ったっけ?」相変わらず記憶はあいまいだけれど。

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日本一のマラソンコースで走りたいという息子。星降る館周辺のマラソンコース2.5キロは中学の陸上部の生徒が監督の元で練習に励んでいた。息子はややアップダウンのあるその外周4キロほどを走る。こんな大自然に抱かれた場所で走ったらどんなに気持ちがいいだろう!走り終えた息子はとてもいい顔をしていた。草原を吹き抜ける風は最高に気持ちよかったな。

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やや汗臭い息子を乗せて、竹田市へ。竹田と言えば岡城址滝廉太郎の荒城の月が生まれた場所。多分20年振りかな。かなり高い丘の上にある山城である。坂があり階段があり、え~、岡城ってこんなに広かったっけ、と思う。それはきっと私の体力が20年前より衰えているから。でもゆっくり歩くから色んなものが見えてくる、いろんなことに気付く。歳をとるのも悪くはないな。大きな城に比べると格段に小さな石ながら、隙間なく積み重ね作られた石垣に驚く。城内がひとつの町のように広大な敷地が広がっていることに気付く。二の丸跡からの壮大な景色。眼の前に広がる久住の山々は、全てを包み込むように静かにそこにあった。

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その夜は長湯温泉の大丸旅館に宿泊。温泉にゆっくり入り、美味しい夕食をいただき、人気のラムネ温泉にも行った。炭酸泉の小さな泡が皮膚を優しく刺激し、とろとろと体にじんわりと染み込んでくる。宿への帰り道、虫の音と川のせせらぎに耳を洗われながら、満点の星を眺める。東北生まれのお嫁さんは、久住の草原を初めて見た景色!!と、とっても喜んでくれた。

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相変わらず忙しい日々、少し無理しての遠出だったけれど、良かったなぁ。自然にいっぱいエネルギーを貰ったなぁ。そして家族はいいなぁと改めて思った。素のままの自分でいれる唯一の場所だから。久住高原の風を、ラムネ温泉の帰りに眺めた星空を、出会ったときめきの全てを、きっと忘れないだろう!たぶん・・・翌日は阿蘇まで足を伸ばした。その時のお話はまた後日に。変わらずの一歩一歩。さぁまた元気に頑張ろう!

★最近観た映画 「判決、ふたつの希望」 レバノン、フランス映画

★最近読んだ本 「すぐ死ぬんだから」 内館 牧子著

8月最終週を迎えています

もう8月も最後の週だというのに、この信じられないような暑さは一向に衰えることなく、相変わらず酷暑の日々が続いている。まるで鉄板の上で焼かれているかのように、じりじりと照りつける太陽に痛い!と肌が悲鳴をあげる。もしかしてこれからもずっと、日本の夏は35度以上の気温が当たり前の熱帯地域になってしまうのだろうか。

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今から35年ほど前に行ったカナダディアンロッキーで、氷河の一部が溶け始めているとガイドの人が言っていたっけ。あのときは「へ~」と、まるで他人事のように聞いていたけれど。あれから少しずつ温暖化は加速し続けて来たんだ。私は、そして私たち人類は、この大地に、自然に守られ、生かされているのだということをすっかり忘れて、この大地を、自然を破壊し、痛めつけることを繰り返してきた。その結果を今目の前に突き付けられているのだろう。

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先日訪れたハワイでは、ほとんどすべてのお店でプラスティックの袋などは使用されていなかった。もちろん過剰な包装も一切なく、品物はそのまま手渡される。マイバックを持参していた私は全く困らなかったのだけれど。かって訪れたインドの町では土に還らないプラスティックの袋やペットボトルのゴミがあちこちに放置されたまま、ゴミの吹き溜まりが出来ていた。町角で物売りをする母親とゴミの中で遊ぶ小さな子供。土ぼこりが舞う中、何度も眼にした光景は今でも鮮明に脳裏に焼き付けられている。かってゴミというものはすべて土に還った。プラスティックが世に広まる前までは。もうかっての時代には戻れない。ならば今出来ることは何かをこの地球に命をいただいているひとりひとりが、真剣に考えなくてはならない時が来ているのだと思う。手遅れになる前に。

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世界中の人々を惹きつける憧れのリゾート地ハワイ!5年振りに訪れたオアフ島ワイキキ近くのビーチでそんなことばかり考えていた。再開発が進む地域では高層のコンドミニアムが眩しいほどの景観を誇っていた。世界中のお金持ちがここにはやってくるのだろうと、キラキラと輝く高層ビルをトロリーバスの中から首が痛くなるほど見上げていた。

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通りから少し離れた公園の片隅には、路上生活をする人たちを多く見かけた。ワイキキの中心地にある大きなショッピングセンターでは、ゴミ箱を漁る浮浪者を、警備員がまるで犬を追い払うように追い立てていた。

宿泊していたホテルには専用のビーチがあり、青い青い空の下でありとあらゆる人種の人たちが波と戯れ、日光浴を楽しみ、夜遅くまで歓声が聞こえていた。部屋のベランダに出ると目の前には海が広がり、見上げれば青い青い空が私を包み込むように広がっていた。私は自分が眼にした全てを消化できないまま、ただ眩しいほどの景色を見つめ続けていた。

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ほぼ半日いたホノルル美術館は、最高にこころ休まる空間だった。いくつかの中庭とその周囲には石の回廊があり、それぞれの場所が様々な色調の緑と、眩しくも優しい光に溢れていた。世界中から集められた美術品の数々に時間も忘れて没頭した。セザンヌゴッホなど著名な画家の作品以上に魅せられたのは、ポリネシアの島々の神事に使われた道具や描かれた神々の姿など、当時の人々の姿が生き生きと感じられる作品たちだった。

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予測不能の太古のとき、平安なる日々をひたすら神に祈る。そんな神の具現化からアートが生まれた。仏教やキリスト教イスラム教や、そんな宗教とは違う、自然から生まれた神さまたち。またハワイの自然を描いたハワイ在住の画家たちの作品に新鮮な感動をいただいた。作品のどれもが生き生きとしたエネルギーに満ちていて、この地への眩しいほどの愛に溢れていた。途中、中庭にあるカフェで巨大なハンバーガとビールをいただいて休息をしながら、結局5時間近く過ごした。こころ満たされる良い時間だった。

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戻って来た再びの日常は時差ボケなんて言ってる暇もなく、翌日から3レッスンというフルの仕事もこなした。3日後の済生会福岡総合病院でのがん患者さんへのヨーガ教室も、自分なりに納得がいく内容で終えることが出来た。今回は久留米大学病院のリハビリの医師と作業療法士の方々など5名が見学参加された。久留米大学病院ではこの10月から院内でのヨーガ教室が始まるという。

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ほぼ4年前、九州がんセンターで始めたヨガ教室が済生会福岡総合病院へ広がり、そこからまた新たな場所へ間接的ながら広がりつつある。試行錯誤しながら、患者さんのQOL(生活の質)を高めるお手伝いが出来ればと頑張って来た。種を撒き、実を結ぶまでには、もっと時間がかかるのだろうが、「めげずによく頑張ったね!!」と、自分にねぎらいの声を掛けてあげよう。今週末はご褒美の?奈良旅が待っている。

相変わらずいろんなことが次々と訪れてくるけれど、いかに力を抜いていけるかが大事かなと最近思う。流れに逆らわず、でもちゃんと今を見つめる眼を失わず。変わらずの一歩一歩。

7月終わりの日・・試練の夏が続いています

7月上旬の西日本豪雨、ずっと続いている35度を超える酷暑、観測史上初めて東からやって来た台風・・・予測不能の厳しい夏を迎えている。この異常気象による災害に日本列島はずっと翻弄され続け、週末はまた再びの迷走台風到来。台風一過?の週明けは酷暑も少し和らぎ、久しぶりにエアコンなしでぐっすりと眠った。でも天気予報によると、これからも35度の日々が続くらしい。そうですか、まだ続きますか、と開き直る週明け。

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で、思い直す。そうだ、この世で起きることには必ず終わりがある。この暑さもいつか終わるんだ。こうなったらその日を夢見て体力を温存しながら耐えるしかない。西日本豪雨の被災地のみなさんのことを思うと、何不自由ない生活を送れているだけでも、感謝しなくては。1日1日を感謝して生きていかなくてはと思う。そうだよ、私は今、奇跡の命を生きているのだ!わが身とこころを引き締める。

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年に一度のヨーガ療法学会は、今年は仙台で開催された。昨年の福岡開催の時は、1年に及ぶ準備や当日の対応など、主催者として走り回っていた。一昨年の大宮の学会でも分科会での発表があり、じっくりと先生方のご講演を拝聴出来ずだった。で、今年は何の束縛もなく、ほぼ2年振りに一学会員として自由気ままに?!学びの時を過ごすことが出来た。
東北大学名誉教授の笹野先生による「味覚と健康」についての講義や、東北福祉大学教育学部教授の斎藤先生による「ヨーガ療法と禅」、アウシュヴィッツ・ビルケナウ強制収容所公式ガイドをされている中谷剛さんによる「アウシュヴィッツの教訓」のご講演など、こころに残るお話をお聴きし、その一言一言を聞き逃さないように必死でノートを取り続けた。

学びの時・・・今まで知らなかったことを知る。今まで気づかなったことに気づく。「そうかぁ~」「そうなんだ!」こころが躍る。そんな瞬間に出会いたくて学会に参加しているのだと思う。この歳になっても知らないことだらけ。もっともっと学ばなくてはと改めて思う。もうそんなに残っていないかもしれない私の人生だけど、多分死ぬまで学びの時は続くんだろう。

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仙台に行ったのは学生時代以来だからなんと50年振り。生きてる内にもう来れないかもだから、学会ついでに仙台周辺の旅も学会前後の日に入れてちゃんと楽しんだ。学会前日は午前中に仙台入りし、お昼は仙台名物冷麺を食した後、松島へ。仙台駅から電車で約30分。遊覧船の時間までの空き時間に訪れた瑞巌寺。九州のお寺にないどっしりとした佇まいに圧倒される。庭の木々も力強く、確かなエネルギーに満ちていた。

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その後松島遊覧の乗船場へ。乗り場にはすでに列が出来ていた。せっかくだからと乗船料&プラスを払って2階席へ。館内放送に耳を傾けながら点在する島々を巡る。多分50年前も同じように遊覧船に乗ったような気がする。残念ながら詳細な記憶はないのだけれど。海のキャンバスに次々と現れる島々。世界遺産の景観はまさに絵画のように美しい。外洋に出ると船は大きく揺れた。そうかぁ、ここは太平洋なんだと改めて思いながら、点在する島々が見せてくれる様々な姿に見惚れる。この景色はきっと日本中探してもここにしかないよね。「松島よ、ああ 松島よ、松島よ」絶景を前にすると人は言葉を失うのだろう。

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その夜は塩釜のお寿司屋さんで東北の寿司を味わう。震災後ずっと観光客が途絶えていたという。松島の島々のお陰で、津波の威力が少し小さくなってこの辺は救われたという。板前さんの話。その場所に立ち、あの時の話を聞き、能天気な九州人の私は、今更ながらあの時を思う。その夜いただいた珍味?はホヤ。パイナップル?のようなお姿ながら、味は海そのもの。日本酒にぴったりと合う初体験の味だった。

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学会後は仙台から一の関まで移動して、翌朝は平泉へ。中尊寺に行きたいという姉の願いに応えてというのが表向きの理由。裏向き?理由は中尊寺へ至る道を50年ぶりの私がどんな思いを胸に歩くのだろうという過去との遭遇狙い?もあった。中尊寺に至る道はすっかり整備をされているなぁという思い以外はあまり変わっていなかった。私の記憶が薄れているのでその変化に気付かないのかもしれないけれど。木々に見守られ一歩一歩参道を歩く。あの時と同じように。

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中尊寺は変わらずのそこにあり、光堂はしっかりとした御堂に守られて変わらずの光の中にあった。そして50年前と同じように「五月雨の降り残してや光堂」芭蕉の句をこころの声で呟いている自分に少し驚いた。藤原家の栄華を極めたこの地の歴史の重さを思い、今も確かに語り掛けてくるメッセージに耳を傾ける。50年前と同じように。私は50年前の自分に恥じない生き方をしてきたのだろうか?自戒の念も抱きながら手を合わせる。いろんなことに行き詰って、一人見つめ直したくて、生まれて初めての一人旅をしたのがこの地だった。あれから、あんまり変わってないな、相変わらず迷い多いし。

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中尊寺は私のこころの原点のように勝手に思い込んでいた。「夏草や兵どもが夢のあと」戦い敗れた兵士たちの夢は時代を超え、しっかりと受け継がれ、今の世にも夢を伝える場所としてその魂が生き続けているんだと改めて思った。50年前の自分に恥じないよう生きて終わらなくては!

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中尊寺から庭園美が素晴らしい毛越寺に行き、あやめが咲き誇る庭園をそぞろ歩いた。昼食は平泉駅前にあるわんこ蕎麦店で、初わんこ蕎麦をいただく。お椀にちょっと盛られた蕎麦が24杯。いろんな薬味で味を変えていただく。この蕎麦まとめたら盛り蕎麦2枚くらいかな?と思う気持ちを必死で打ち消し、ご当地グルメを堪能する。

学会&旅が終わって、またいつもの日常が始まった。学んだことをちゃんと自分の中で消化し、正しく伝えられるように学び直さなくては。感じたことをちゃんとこころの声で語れるように、自分の思い、整理しなくては。豪雨で被災し懸命に闘っている療法士の仲間たちがいる。ささやかな募金をするくらいしか何も出来ない自分だけれど、今ここにある今を感謝して、大切に一歩一歩生きていこう。そうこころから思う。

★最近観た映画 「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ★アディオス

        「フジコ・ヘミングの時間」 出演 フジコ・ヘミング