パザパ

パザパ pas a pas ・・・フランス語で一歩一歩。頑張らずでも一歩一歩前に進める日々を願って・・・

節分が過ぎて、やっと私の1年が始まりました

いつ以来だろう、多分1年以上振りにブログを開いてみた。そして丁度1年前の1月の終わりに「にこにこの2月が始まりますね」と投稿して以来だということを知った。ブログのことを実はすっかり忘れていた。それほどに2019年は私にとって、全く余裕のない激動と試練の1年だった。3年半、がんと闘ってきた家人が昨年9月についに力尽き旅立った。術後余命1年から3年と言われていた。昨年8月、余命1ヶ月の最終宣告を受けた時は、よく今日まで頑張ってくれたなぁと、あまり動揺せずにその事実を受け止めることが出来た。

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この3年半、家人が望むところに出来るだけ一緒に旅をした。家族みんなで温泉にも随分出かけた。仕事は続けたいというので、亡くなる2ヶ月前まで仕事にも行っていた。最後の1ヶ月は緩和病棟のある病院に転院して手厚い看護を受け、またゴルフに行きたいと願い続けた。そしてロウソクの炎が静かに消えるように、穏やかに眠るように逝ってしまった。「ありがとう」というのが最後の言葉だった。告別式には100名以上の人たちが参列して下さった。「我が人生に悔いなし」が口癖だった。本当に悔いなく見事に生き切った人生だった。

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あれからもう5ヶ月が経った。ついこの間だったような気がするのだけれど。だんだん衰弱していく家人に何も出来ず、ただ背中をさすり続けた日々を相変わらず何度も思い出す。少しでも食べて欲しいと願うことが、むしろ苦しみの日々を伸ばすことになることを知りつつも、一口でも食べて欲しいと、1日でも生きて欲しいと願った日々。思い出すたびに涙が流れる。そんなことを何度も繰り返して、日々が過ぎ去っていく。

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そしてやっとそんな思いを整理して向き合うことが出来るようになった。悲しみは決して薄まることなく、私の胸の奥に在り続ける。時々その悲しみが込み上げてきて、ひとり泣くこともある。泣いた後はカッと眼を見開いて空を見上げる。大丈夫!私はひとりでちゃんと生きていけるよ!そう空の人に宣言する。

「自分が死んだ後に忘れられてしまうのが怖い」看護師さんからそうご主人が言われてましたよと聞いた。忘れるわけないでしょ。私が生きている限り、あなたは私の中で私と一体となって生き続ける。そして私の亡き後には子供たちの中に。肉体というものはなくなっても、その魂はずっとずっと生き続ける。そう私は強く思う。

冷たい雨が降る日、逝ってしまった私の大切な人たちを想い少し涙する。明日はきっと晴れるかな。節分が過ぎ、やっと私の1年が始まった。

*最近観た映画 「パラサイト」ポン・ジュノ監督