パザパ

パザパ pas a pas ・・・フランス語で一歩一歩。頑張らずでも一歩一歩前に進める日々を願って・・・

遅ればせながら梅雨入りした週末

6月になり庭の紫陽花が満開になった。毎年お花が終わるとかなりバッサリと枝を落とすのだけれど、今年もすくすく育ち、すでに2メートル以上高さに成長している。夫の写真の前を飾る花は最近ずーっと紫陽花。たまには違う花にして!と夫の声が聞こえるようだ。猫の額よりも狭い庭には夫が植えた木々が元気に育っていて、ジャングル状態になっている。雨が降る前に、暑くなる前になんとかしなくてはと思いながら、今日も眺めるばかりで終わってしまう。

あっという間に1週間が過ぎ去っていく。月曜日から土曜日まで毎日ヨーガの指導に明け暮れている。この歳になっても私を必要としてくれている人がいて、そんな場所があることを本当に幸せだと思う。けれど時々立ち止まってしまうこともある。相変わらず迷いはあるし、落ち込んでしまうこともいっぱいある。その度に「ヨーガスートラ」の「無智、自我意識、愛着、憎悪、生命欲とが煩悩である(IIー3)」という言葉を思い返し、私はどこで立ち止まっているのかを見つめ直すようにしている。

「無智とは有限、不浄、苦、非我のものを、無限、浄、楽、真我であると思うことである(IIー5)」ものごとの判断基準が定まらず、自分の価値観や考えが揺れてしまうことで見誤ってしまい、結果立ち止まってしまうのだろう。何が起きてもど〜んとここにいて、穏やかな表情で微笑みを絶やさずにいる、そんな私でずっといれたらいいのだけれど。
無理!!私は仏さまではないのだからと、開き直る私に「死ぬまで修行!」ともう一人の私が言い聞かせる。

ルシア・ベルリン・・・彼女の紡ぎ出す言葉や世界観にすっぽりと包まれていると、そんな煩悩も薄まっていくように感じる。アラスカ州で生まれ、テキサス州で育ち、終戦後はチリに移住。ニューメキシコ大学で学び在学中に結婚、息子2人をもうけるが離婚。3度の結婚、離婚を経験し、晩年は肺がんを患い、68歳の誕生日にお気に入りの本を手にしながら亡くなったという(wikipedia より)19編の短編が収められたこの作品集はまるで宝石箱のように、どの作品もそれぞれの光を優しく放っている。登場人物のほとんどが大変な状況下にあるのに、ほっと気持ちが緩んでいくような温かさに包まれていくのはどうしてなんだろう。不思議な読書感に最初は戸惑いながら、やがて、それはルシア・ベルリンの深い愛なのだとの思いに至る。あなたは誰かを愛していますか?ただ「今 ここ」の全てを受け入れ、しっかりと慈しみ愛しなさい。彼女の声が聞こえるようだ。

「こんなに渇いても、人は愛せるし、こんなに汚くても、人は気高いし、こんなに希望がなくても生きられる。その事を天気のように受け入れるしかないのだと、隣で微笑んでいるような読書感だった。(金原ひとみ 朝日新聞読書評より)」

まるで自然を眺めているかのように、湧いてくる思いをそのまんま受け止め、穏やかな眼差しで見守っていく。そしてまたゆっくり今ここの呼吸に戻っていく・・・夜、静かに座して少し瞑想をした。今週も日々丁寧に歩いていこうと思った。良い日曜日だった。

■最近読んだ本  「同志少女よ敵を撃て」 逢坂冬馬著

         「すべての月、すべての年」 ルシア・ベルリン著

■最近観た映画  「トップガン マーヴェリック」 トムクルーズ主演

         「オードリー・ヘップバーン