パザパ

パザパ pas a pas ・・・フランス語で一歩一歩。頑張らずでも一歩一歩前に進める日々を願って・・・

過ぎゆく日々に思うこと

2016年のカレンダーが最後の1枚になる週となったけれど、月日の流れに置いてきぼりになったまま、一人佇んでいる自分がいる。そうかぁ、もう師走なんだ!そう何度もつぶやいても、実感が全然湧いてこない。
そんな日々ながら先週末、3か月振りに母が眠る里山に帰った。母が旅立ってからこの家に帰ることがすっかり少なくなってしまった。「お母さん、ただいま~!!」と母に会いたくて帰っていた日々はもうすっかり遠い日々になってしまった。

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別府から姉夫婦が、東京から姉の娘夫婦も帰って来る。一気に賑やかになった家にきっと母も喜んでいるだろうなぁと、仏壇の前に座り「お爺ちゃん、お婆ちゃん、お父さん、お母さん、ただいま!」と手を合わせる。そうかぁ、やっぱりお母さんはあっちへ逝ってしまったんだ。今更ながらの思いに少し戸惑いながらも感傷に浸る暇なく、早々野良着に着替え、雨上がりゆえに蛭対策を万全にしてカボスの収穫へ向かう。親戚のおばさんからいくらでも採っていいよと言われ、我が家のカボスは後回しにして、高齢のおばさんが採りやすい低い位置を残し、手が届かない高い場所にあるカボスを収穫する。

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不安定な場所だから脚立を使うことは避け、手が届かないところは用心しながら木に登り、思いっきり手を伸ばし、鋏を手にひとつひとつ枝から落としていく。ヨガで鍛えた体が実践で役に立つ!無心でカボスと向かい合う。曇天ながら風もなく、寒くもなく絶好の収穫日和!?落としたカボスを背負いの籠へ入れて家までの道を歩く。重さは??30キロくらいかな??いやもっとかも!?丹田に力を入れ、一歩一歩確かめるように歩く。家に帰り用心しながら土間に降ろす。そして空になった籠を背負い、紅葉に染まる山を眺めながらが再びカボス畑?へ向かう。

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山里はすっかり秋色に染まり、吹き抜ける風は少し冷たく、「お母さん、今年もカボス、いっぱい採れたよ!カボスポン酢作らんとだね」母に語りかける、あの日のように。人という存在は無くなってしまっても、その魂は変わらずそこにあって、自然の懐は変わらず深く温かく、包み込んでくれているんだ!季節は廻り、変わらずに時を刻み、やがてこの私という存在が無くなった後も、ずーっと続いていくんだなぁと、山々を眺めながら不思議な感動にも似た思いに浸っていた。

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夜は福岡で材料をご用達したもつ鍋をみんなで美味しくいただいた。姉や姉の娘夫婦と夜遅くまで昔話に花が咲いた。いつもは静かな里山に一夜だけの花が咲く。その夜は祖父母や父や母がいる仏壇がある座敷に布団を敷いて一人眠った。夢の中で母に会いたかったけれど、残念ながら疲れ果てて爆睡!!
翌日はみんなでお墓の掃除をする。例年以上に温かく雨も多かったから、お墓は枯葉と苔に覆われていた。枯葉を集め、苔をそぎ落とし、少し綺麗になったお墓で蝋燭を点し線香を立て、静かに手を合わせる。「お爺ちゃん、お婆ちゃん、お父さん、お母さん・・・・」一人一人に語りかけながら。

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午後延岡市北浦にある宿「高平屋」へ向かう。東京から帰省している姉の娘夫婦歓迎会と、カボス収穫を頑張ったお疲れさん会も兼ねて、伊勢海老満喫の宿に泊ることにした。高台にある宿の部屋の向こうには海が!日豊海岸国立公園に面したリアス式海岸は日向松島とも呼ばれているとか。明日の朝の日の出が待ち遠しい!!その前に、もちろん伊勢海老も~!!

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 伊勢海老、ひむか本さば、一本釣り鯵、かんぱち、さざえ、、、最高でした。その他地元で採れた旬の野菜たちを使った料理の数々、どれも美味しくて、もちろん米粒一個も残さず完食!高平屋さん、最高!
この宿を紹介して下さり、予約も入れて下さった福岡、今泉にある「肉のたまや」さんに感謝!!

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翌朝は6時には起きて、窓の側の椅子に座りスタンバイ!昇りました!!刻々と変わる景色に見惚れ、感嘆のため息をつき、拝み、30分以上釘付けになっていた。「きれいだね、お母さん、見てるよね」朝食後宿の庭にある石のテーブル席で美味しいコーヒーをいただく。海を見るとあの水平線の向こうにある国へ行きたいと思う。来年はどこに行こうかな。

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晩秋から初冬へ、そして11月も終わる。相変わらず胸の深いところに寂寞たる思いを抱えたままだけれど、じっとしていると涙がこぼれそうになるけれど、しっかり前を向いて、あと1か月、2016年という波乱に満ちた1年の最後の日々を丁寧に過ごしていこう。そうこころから思う。変わらずの一歩一歩。