パザパ

パザパ pas a pas ・・・フランス語で一歩一歩。頑張らずでも一歩一歩前に進める日々を願って・・・

お盆の日々を過ごして

相変わらずここ福岡は雨が降り続いている。金曜日と土曜日、ほんの少し太陽が顔を見せたかと思ったらまた雨の日曜日。8月も最終週を迎えているというのに、夏の太陽は一体どこに行ってしまったのだろうか?
もう10日以上前になるのだけれど、お盆はいつもの夏と同じように限界集落の山里に帰り、母や兄弟たちと一緒に過ごした。そんなお盆の日々を今更ながらではあるが、少し振り返ってみよう。
13日の早朝(6時)福岡を出て、3時間後(9時)に到着!休む間もなく仏壇の提灯やお供えなどお盆の準備をして、家から徒歩5分のお墓にご先祖さまをお迎えに行き、14日も空っぽ?のお墓に行き、15日はご先祖さまを連れて?お墓にと、お盆の日々はご先祖さまと共に過ごした。

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13日の宵に迎え火を、15日の宵に送り火を焚き、今年もいつもと同じお盆を過ごした。歩いてお墓に行き、家の前で迎え火を焚く。昔から全く変わらないお盆を過ごしている人が、今の日本に一体どれほどいるのだろうか?
今、確実に日本独特の風習が消えつつある。山里が消え、四季の生業が消え、急速に変わりつつあるそんな日本にあっても、ここには、ここだけには今も変わらずに続いている日本の原風景がある。そんな故郷があることが私にとって何よりもの財産だなとつくづく思う。そして私たちが生きている間だけでもこの村を守っていかなくては!と、改めて思っている。

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送り火が揺れる。おじいちゃん、おばあちゃん、そしてお父さん!こころの中で呼びかけながらじっと手を合わせる。守られていることに感謝をしながら。

母が不在の家の周りは、当然がら雑草の生い茂るジャングルとなり、「お盆にそげんことをして!!」と、叫ぶ母に聞く耳持たず、お盆ながらに姉と二人で日中は雑草と格闘する。日差しはないものの湿度の高い暑さの中、畑で大暴れの雑草たちを鎌を手になぎ倒していく。汗が目に染みて、何度も手拭いで汗を拭き、水を飲み・・・・
途中で気分が悪くなる。頭がくらくらして、もうダメだとしゃがみこむ。で、また立ち上がる。立ち上がれる自分にどんだけ元気なん?!と、呆れる。この歳になってもこうして働かなくてはならないことを、不幸と思うか幸いと思うか??
過酷な作業も2時間が限度。 多量の雑草を前ん山に捨てる。湿気を帯びた草が重い!
最後の力を振り絞り片付ける。姉と二人。同じヨガの世界で頑張っている姉。
きっとそれって、幸せ・・・なんだろうね。

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 本当に私たちよく働くよね!!夕飯にビールをぐ~っと飲みほして、姉と私と弟と語り合う。まだらボケの母は蚊帳の外ながら。三人で珍しく話が盛り上がり、気が付いたら盆踊りが終わる時間になっていた。夕方から降り始めた雨で急きょ地域の集会所の中で行われることになった盆踊り。あわてて駆けつけたらなんと最後の踊りになっていて、それでも何とか一曲踊って、厚かましくも缶ビール1本をいただいて帰った。集まった人たちのほとんどが孫の世代になっていて、その7割以上の人が知らない人であったことに少し驚きながら、彼らが祖父母亡き後もこの村に帰ってくれることを願う。限界集落の夜は静かに更けていく。

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母は確実に弱っている。それでも自分の足でトイレに行き、前んおばちゃんと話し、親戚のおばちゃんたちに励まされ、再びあの山里を離れ、姉んちへ。もうあの家で一人で過ごすことは無理なんだと分かってから、母は少し元気がなくなった。そんな母に「頑張れ!!」と言うのは酷な気がしつつ、それでももう少し頑張って!!と言いたくなる。電話をすると「気を付けなさいよ!」といつも言う。「あなたこそね」と言い返す。そんな母がいるだけでも幸せだと思わなくては。もちろんそんな母を見てくれている姉に一番の感謝の思い伝えなくては。

夏らしい日々が訪れないまま、夏が逝こうとしている。そして私は22日お誕生日を迎えた。たくさんの人たちからお祝いのメッセージやプレゼントをいただいた。その一人一人に支えられて私は今生きているんだと、感謝の思いで胸がいっぱいになる。「ありがと・・・私はあなたのお蔭で生きています。」

そしてその夜、強く思った。「私は残りの人生を人の苦しみや悲しみに寄り添って生きていきたい」・・・と。何が出来るのかわからないけれど、新しい1年はそんな思いを実現する1年になりそうだ。一歩一歩、変わらずの日々が続く。