パザパ

パザパ pas a pas ・・・フランス語で一歩一歩。頑張らずでも一歩一歩前に進める日々を願って・・・

フィンランドというと・・・・その4 最終章

フィンランドで一番行ってみたいところは?と聞かれたら、「森!」と即答する。そのこころは?まずは村上春樹氏の「ノルウェーの森」、映画「かもめ食堂」といったミーハー的な発想から。いや、それ以上に小さい時から夏休みは祖父母の家がある大分の山里で過ごした私には、森は私のこころの故郷だから。かって、九州の森しか知らなかった私が、初めて行った軽井沢の森のあまりもの違いに驚き、感動したことがあった。だから「かもめ食堂」でマサコさんが行ったフィンランドの森へ、私も絶対行ってみたい~!!ずっとそう思っていた。ワクワクドキドキ、高鳴る胸を抱え、一番行きたかった場所に滞在5日目にやっと行くことが出来た。

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まず前日に最寄駅(Espoo)からヌクーシオ国立公園近くを通るバスの時間を調べに観光案内所に行った。案内所の人はとても親切にバスの時間割をコピーして下さった。個人で気ままに動くにはそれ相当の準備必要!!翌朝、いつも以上に早起きして準備しヘルシンキ中央駅に向かう。まずEspoo駅までの切符を買わなくては!!近郊だから自販機で買えるはずと思いつつ、探すこと5分結局わからず、通りがかりの人に聞いて、その自販機がなんとホームにあることを教えてもらう。え?切符なしにホームに入れるの?確かに改札はどこにもない。

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かって旅したフランスと同じだわ。で、ホームの端にある自販機と格闘しているとすぐに助っ人が現れて手伝って下さる。「キートス!!(ありがとう)」を連呼してお礼を言う。でも、乗り場の14番ホームがない!!なんと14番線は駅の外?にあり、やっと発車ギリギリ滑り込みセーフで乗り込む。あれ?!車内にカードリーダーがあり!なーんだ、近郊の電車ゆえに、購入したフリーパスが使えたんだ!駅到着から20分以上かかってやっと乗れた電車。ほっとして座る。まぁこういった苦労がずっと忘れない旅の思い出の華になるんだよね。

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車内アナウンスも何もないから、ぼーっとする間もなく停車駅を数え、「次はEspooですか?」と周りの人に聞いて無事にEspooで下車!第一関門突破!
駅構内のキオスクにあるトイレを借りつつ、森で食べるサンドイッチ購入し、ヌクーシオ国立公園行きのバス乗り場を聞く。とても親切に対応してくれた青年から「どこの国?」と聞かれたので、「日本だよ」と応えると、「自分は去年まで東京の新大久保で生活していたんだよ!」と。「え!新大久保!マジっすか!」(英語直訳?!)ヘルシンキ郊外の小さな駅のキオスクでまさかの「新大久保」の話に盛り上がるなんて!
そんな時間を過ごしたお蔭で?バスの時間に間に合わず、次のバスを30分近く待つことになる。まぁ、急ぐ必要はない、ゆっくりとバスを待つ。快晴の空は青く、限りなく青い。

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やっとバスに乗り込み、運転手さんに「Haukkalammentieに着いたら知らせて下さい」とお願いをする。(発音出来ないのでバス停の名を書いた紙を見せつつ)バスは緑の世界が深くなっていく道をひたすら走る。30分後、「次ですよ!」運転手さんに教えていただいて下車。道に立っていた表示に沿って左折し、国立公園へ続く道を歩き始める。

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道沿いに数軒の人家を眺めた後、やがてすっかり緑のみの道となり、道に咲く小さな草花を愛でつつ、とにかく歩き続ける。その間誰にも出会わない。本当にこの道でいいのかな?やや不安な思いを抱えつつ、私の前にずっと続く道をひたすら歩く。

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「着いたぁ~!」歩くこと約20分で公園入口に無事に到着!!案内所でパンフレットを貰いトイレに行って、いざ森へ!!公園散策には最短は約2キロ、1時間半のプナリンタ・ハイキングコース(赤)、4キロ2時間半のハウカランピ・ハイキングコース(青)、7キロ4時間のコルッピ・ハイキングコース(黄)があって、木に記されたそれぞれの色をたどって。私は2時間半のアウカランピコースを歩きたったけれど、結局相方の意見を優先して最短コースをゆっくり歩くことにする。

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森は湖の周りに広がっている。ため息が出るような美しい景色に何度も見惚れて立ち止まる。空は限りなく青く、湖は実に複雑な水色に幾重にも染まっている。湖の深い青と空の優しい青と木々の様々な緑と、信じられないほどの自然が見せる美しさを、何とかして画布に描きたくて、画家は必死で絵筆を握ったのだろう。

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湖のほとりで持参したサンドイッチを食べながら、この最高の景色の全てを私の記憶に刻み込もうと、五感を駆使して今を必死で抱き締めた。カモメの鳴く高い声が聞こえる。心地よい風に揺れる葉がさわさわと優しい音を奏でる。湖面に幾重もの輪が広がりやがて消えていく。作曲家はこの自然の奏でる音を何とか五線譜に写し取ろうとしたのかもしれないな。でも、どんな名画も名曲も、この自然には敵わない。そう初めて思った。

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 森は限りなく深く、でも不思議な力で私たちを包み込んでくれる。ムーミンが産まれた森。そこに私がいて、今、そのエネルギーを体感して、満たされていく。自分が解放されていく!!

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ブルーベリーが実り大きくなるには少し早かったけれど、摘まんでやや甘酸っぱい味を楽しみながら歩く。その一歩一歩をワクワクするこころを抱えながら歩いた。「私、フィンランドの森を歩いているんだよ!」このまま時間が止まって欲しい!そう何度も思いながら・・・

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いろんな種類のきのこもいっぱい出会った。2時間以上森を堪能し、公園の入り口に戻る。まだもう少しここにいたいよ~!!と叫んでいるこころを抱え、また来た道を戻る。森のエネルギーをいっぱいいただいたから足取りは軽い。牛さんの群れに出会ったり。
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途中でまさかの日本人家族連れに出会い、「この道で大丈夫ですか??」不安げな彼らを励ましつつまた降り立ったバス停へ向かう。数分待ってEpoo行のバスに乗り、Epoo駅へ。ヘルシンキ行き電車が出るホームはわかったけれど、切符を買う術もわからずうろうろしていたら、「どこに行きますか?」と青年が声をかけてくれた。「ヘルシンキ」と応えると「この階段を下りて電車に乗ったらいいですよ。」「でも切符買ってないし」「今バスに乗ってたでしょ。そのバスのチケットがあったら、電車代は無料なんですよ」「へぇ~!!」結局、その親切な青年のお蔭で無事に電車の乗ることが出来た。

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行きに比べると少し混んでいた車内でさっきの青年と同じ座席になる。「日本の方ですよね!日本のどこから来られましたか?」「去年日本の静岡に行きました。今年の秋は大阪に行きたいと思っています。」日本の南九州福岡から来たことを告げ、ヘルシンキへ戻る電車では日本大好きのイケメン青年と語り合うことになる。ハリウッド映画より日本の東宝映画が好きで、特に「ゴジラ」が大好きという青年。ハリウッド映画よりフィンランドアキ・カウリスマキの世界が好きという私。私のかなり下手な英語の会話ながらお互い変な人だよね!!という結論?に達しつつ楽しい時間を過ごし、あっという間にヘルシンキ中央駅へ到着。

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暮れない街は今日も元気で、あの森が嘘のように活気に溢れていた。良い一日だったなぁ~!森での想いにもう少し浸りたくて、すぐホテルに戻る気にならず、駅前広場沿いのオープンカフェで道行く人を眺めながら、こころは森に残したまま、楽しかった今日を祝して?ワインで乾杯!!(即、一杯のワインが回り写真撮り忘れ・・・)
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一番行きたかった場所へ自分で行くことが出来た。そして森のエネルギーをいっぱい充電?することが出来た。相方の思いに応えての旅ながら、振り返れば結局私が行きたったところに行った旅だったな。

「強い思いがあれば道は拓ける!!大事なのはいかに思いを強く抱き続けることが出来るか。」これからの私の生き方を教えてくれる旅でもあったなぁ。
帰って来た日からここ福岡は灼熱の日々が続いている。はっきり言ってかなり夏バテ!!そんな時だからこそ一層森を想う。ヘルシンキで過ごした1週間を想う。今度はどこに行ってどんな素晴らしい時間を過ごそうか?!そのためにも日々を大切に、体とこころを整えて一歩一歩・・・・ですね!!