パザパ

パザパ pas a pas ・・・フランス語で一歩一歩。頑張らずでも一歩一歩前に進める日々を願って・・・

命について考えた・・・

昨日はお彼岸、そして今日は敬老の日、明日は国民の休日(?)明後日は秋分の日。土曜日を入れたら5連休、なんでもシルバーウィークというらしい。何とか仕事を調整し2日のお休みが取れたので、母に会いに別府へ行き、ご先祖様に会いに4か月振りに村へ。フルに時間を使って移動し、体を使って働き、忙しかったけれど、中身の濃い2日間を過ごした。

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2週間前は「かえる!」と何度も声を無くした声で叫んでいた母は、目を開けるのも辛そうに眠り続けていた。「お墓に行って掃除して、お母さんのことちゃんとお父さんにお願いして来るけんね」そう耳元で言ったら、ちょっとだけ頷いた気がしたけれど。

少し重いこころを抱え山里へ向かった。久しぶりの実家は、住む主のいない家は、そこかしこに主のいない痛みが見えて、気持ちが少し重くなった。掃除機をかけ、汚れを磨き、覆っていた不在の沈殿ベールを拭い去る作業に汗を流した。「お母さん、あなたのいない家は、少しづつ綻んでいるよ。でも、大丈夫。私たちがきっと守るから。」気が付けば病院にいる母にずっと語り続けていた。

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そして、お墓に行く。枯葉を掃き出し、墓石を磨き、蝋燭を立て線香を手向け、静かに手を合わせる。「お母さんがこころ穏やかに最期の時を過ごし、あなたたちの元に旅立てますように・・・」懸命に祈った。生と死の交わりの場所で、真っ赤な彼岸花が静かに咲いていた。

夜は私の手料理で、久しぶりに会った弟夫婦と母について、これからについて、ゆっくりと語り合い、山里の夜は更けていった。母のベットがある座敷に布団を敷いて一人眠った。こんな夜は初めてだわと思いながら、母がトイレに起きる度に目覚めていた夜を懐かしく思い出していた。もう家に帰ることはできませんと言った医者の言葉を思いだし、もうこの場所に帰れない母を想いながら。やがて川の音を子守唄に、いつの間にか深い眠りに落ちていった。相変わらずの悲しみを抱えながら・・・
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母の昼間の面会時間に間に合うように、前ん畑の草を大急ぎで鎌を手に片付けてから、里山を後にして、再び病院へ向かった。母は目を開けてちゃんと私を見つめてくれた。母を抱きかかえるようにして、背中をさすり続けた。
「お母さん、ありがと。私を産んでくれてありがと。育ててくれてありがと。」母への感謝の思いが溢れ、涙が止まらなくなった。泣いてはいけないと姉に言われていたのに。「ごめんね。お母さん、泣いてしまって」そう言うと母は静かに頷いてくれた。
願うのは母が最期の時まで、こころ穏やかに過ごしてくれることだけ。命について考える。私の家族、私の親しい人たち、そして私自身の命。すべてに始まりがあり、やがて終わりがある。命も同じ。始まりも終わりも選べないし決められない。だとしたら、その日まで悔いなく生きるしかない。月並みだけど、今を生きる。懸命に生きる。
命について懸命に考えたささやかな休日の二日間が終わった。明日からまた仕事に追われる日々が始まる。しばらくは必要とされる場所がある今を生きるしかない。
悲しみを抱えながら、涙をぬぐいながら、今週も今を懸命に一歩一歩。