パザパ

パザパ pas a pas ・・・フランス語で一歩一歩。頑張らずでも一歩一歩前に進める日々を願って・・・

弥生3月・・・・京都プチ旅 その1

1月いっとき、2月にこにこ、3月さよなら・・・・高校時代尊敬していた先輩の言葉を毎年変わらず思い出して、新年からの3か月を過ごしている。あっという間に「さよなら」の3月を迎え、何よりも長かった冬に一刻も早くお別れを言いたくて、2月末の日曜日一泊二日の京都旅を決行した。ここんとこはまっている?空海の場所に立ちたいという思い、春まで待てず、思い立ったらすぐ実行!

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仕事がお休みの日曜日の朝、少し早起きをして新幹線に飛び乗り、11時過ぎに京都着。快晴~!!実は晴れ女の私。京都駅は相変わらずすごい人で、駅前のバス乗り場は長蛇の列。でも私が行く高雄行のバス乗り場は並ぶ人なし。がらがらのバスは一路高雄へ。お腹空いたなぁ・・・・確か神護寺に至る道には茶店があるとかだから、そこでお蕎麦でも食べようっと!そう思いながらバスは市街地を通り抜け、高雄の山道を走り抜ける。京都駅から50分ほど揺られ高雄到着。気が付けば乗客は私ひとり。

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案内図で場所を確認。川へ向かう急な階段を下る。橋を渡ると今度は急な階段が待ち受けていた。気合を入れて登る。お腹が空いてエネルギーが点滅を始める。足が重い。息が上がる。なんと情けない!これしきでへこたれていたら、5000mのカイラスなんて無理でしょ!と、何度も自分を叱咤する。

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ご覧の通り人の気配なし。階段途中にある茶店も全て閉められていて、茶店でお蕎麦の夢も夢のまた夢。
リュックに入っていた昨日買ったあまおうエキス?入りのやや甘いお水を飲んで空腹を癒す。たかがお昼を食べられないくらいでなんという情けなさかと、かっての修行僧の苦行を思い自分を戒め登り続ける。少し荒くなった息の音を聴きながら、無心になって登る。

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少し途中で休みつつ登り始めて約20分後、やっとの思いでたどり着く。山門をくぐると悠々たる景色が目の前に広がる。ここが空海が愛した場所なんだ!高鳴る胸を抱え金堂へ。国宝薬師如来像を安置する金堂は更に階段を登ったところにあった。

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お会いするのを?一番楽しみにしていた金堂の薬師如来像は想像以上に逞しく、威厳に満ちた姿で私の前に現れた。しっかりとした太腿を持って堂々としたお姿で立ち、そのお顔はやや吊り上った眉、鋭い眼差し、強い意志を持って結ばれた口元など見つめていると、何か強い力が私の中に満ち溢れてくるような気がした。両脇には日光、月光菩薩が控える。じっとその場所に立ち、手を合わせ、眼を閉じて祈る。

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空海は唐から帰国後、807年にここ神護寺に入り、14年間京都の拠点として一番長くとどまったという。1000年以上前、空海もこの場所で同じ空を見上げ、高雄の山々から吹いてくる風に木々が唄う声を聴いていたのかなと、ひとり思いを馳せる。応仁の乱の戦火を逃れ唯一残る太師堂の前に佇む。ここには空海と私以外誰もいない。
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ずっとずっとこの場所にいたいという思いを抱えたまま、重い腰を上げて山門を再びくぐり神護寺を後にした。また違った季節にきっとまた来るからと自分に言い聞かせながら。高雄の山から湧く清らかな湧き水が流れる川を眺めながら、神護寺の別院として創建された西明寺へ向かう。
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鎌倉時代、仏師運慶によって彫られた釈迦如来像を始め、平安時代千手観音菩薩像などなど思いがけない仏たちに出会うことが出来た。境内に立っていた樹齢700年の日本で最長寿の槇の木も必見だった。
さらに歩いて栂ノ尾にあるお寺、高山寺へ。高山寺といえばかって九州国立博物館でも開催された「鳥獣人物戯画絵巻」を有する。鎌倉時代の傑作であり国宝に指定されている「石水院」は、すべての空間が計算され尽くした美の中にありながらも救済と癒しの神々しさに満ちていた。
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高雄の山々に点在する祈りの場所に実際に立ち、その空気感と共に、1000年以上のときを経て、空海に出会った?午後であった。思い切ってやって来て本当に良かったなぁ!と京都駅へと戻るバスに乗り、改めて思い噛みしめていた。その夜は京都に住む息子夫婦と四条烏丸で夕飯を共にし、互いの今を語り合った。大満足の夕飯後戻ったホテルの部屋で明日の予定を立てる。やっぱ京都はいいわ!明日は1日ゆっくり京都の今年最後の冬を楽しもう!そう思いながら静かに眼を閉じ眠りへ。京都プチ旅続く・・・

 

 

 

春の足音が聞こえた日

確かに昨日、春の足音が聞こえたのに、今日はどんより肌寒で、春の歩みは相変わらず、一歩進んで二歩下がる、まさに三寒四温の日々が続いている。先日久しぶりに大宰府天満宮に行った。梅園の梅はまだまばら咲きだったけれど、本殿の飛び梅はほぼ満開の状態だった。真っ青な空を背に、花びらが唄うように風に揺れていて、見上げる私を優しい梅の香が包み込んでくれる。「あ~しあわせ。。。」と、空に梅に語りかける。天を見上げて咲く桜より、私を見つめて咲く梅のほうが好きかな。

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その数日後、スタジオの会員さんから「梅もなか」をいただいた。優しい甘さの白餡に金時豆がぽつんと入っていて、「わぁ~かわいい」とこころの中で言いながらニコニコ笑顔でいただいた。梅を五感で味わった一週間だったなぁ。(梅もなかは全部食べてしまい写真なしです)

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大宰府に行ったのは、宝物殿で開催されている「鹿児島睦展」を見たかったから。独特な世界観で描かれた「曲水の宴」は和紙?に描かれた曲水に、陶製の梅の木々が点在している。梅の木には可愛い梅の花が咲き、鶯もちょっこりとまっていたり。早春の優しい陽の光に包まれているような世界に、ほっこりこころ包まれる温かい空間だった。梅の花の優しい色合いは、日本人に合うなぁ~と、しみじみと思う。

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 自然の美しさにはかなわないけれど、人の手で表現されるアートの世界も大好きだなぁ。2月の初め、東京で生活している娘が、福岡の中心地に新しく出来たビルのオープニングイベントで出展するために帰省をした。ビルの一室でのアートの展示??正直言ってかなり疑問マーク一杯ながら、勤務するヨガスタジオの近くにあるそのビルの会場に足を踏み入れた瞬間に、ぐぐっとハート♡を掴まれてしまった。

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娘の作品「K2」は以前東京のギャラリーで観たことがあったが、このがらんとした会場内に展示されていると、また全く違った表情をしているように感じられた。同じく天井からぶら下がった4つの四角いスピーカーからなんとも不思議な、でも心地よい音楽が聴こえてきて、山?の下に座っていると山のエネルギーに包まれているような、瞑想しているような不思議な気持になった。

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東京で活動をしている5人の若いアーティストの作品が展示されていて、そのどれもが個性的で、その個性がこの無機質な空間に、互いに邪魔することなく、不思議な共鳴感を持って存在しているように思えた。僅か2日間の短い、でも贅沢な展示を2日目は3時間近く滞在して満喫した。地方都市ではこのような現代アートの展示は中々お眼にかかれないから、こんな展示、またやって欲しいなぁ~
少し煮詰まって、発酵気味だった?頭に、強烈な風が吹いて、吹き抜けていった感じかな。こんな刺激大好き!!

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そうだ、この街をちょっと離れるちょい旅に出かけようかな、、、、天満宮の裏手にそびえ立つ樹齢千年以上の楠の木の根っこが隆々としている様を見て感動したけれど、私もあんな風にしっかり大地に根を張って生きていかなくてはと思ったけれど、時には根無し草になって彷徨ってもみたい。

だから春よ来い!!はやく来い!!唄いながら?今週も一歩一歩・・・・・


★最近読んでいる本  ・ 「弘法大師 空海読本」 本田 不二雄著 ・「苦脳力 精神科医が明かす空海の生と死」 保坂 隆著  ・「ほっとする空海の言葉」 文 安元 剛  書 谷内 弘照 (全部空海関連書  私 わかりやすい!!)

2017年 始まりの時に思うこと

2017年の元旦は、ひとりでのんびりとお昼寝をするという、多分結婚以来初めての幸せ時間から始まった。昨年の1月末に母が亡くなって喪中のお正月で、私は初詣も遠慮し、夫と帰省していた娘夫婦を初詣&恒例映画鑑賞へと送りだし、誰もいない居間にひとり座り、窓から降り注ぐ新年の暖かい日差しに包まれてまどろみながらのお正月を過ごした。こんなにのんびりしたお正月なんて、結婚してから40年近く振りかもしれない。今年は少しゆっくりした1年になるのかな、そんな期待を抱きながら、亡き母に感謝しつつ母に語りかけていた。「お母さん、あなたがいない初めての年が明けました・・・・」と。

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写真は昨年末富士山近くへ旅をしたヨガの生徒さんからいただいた写真。やっぱ新年を飾る写真は富士山ですね。やはり富士山は世界で一番美しいなぁと改めて思う。富士山に登ったのはもう20年近くも昔のこと。8合目で仮眠して登った山頂では残念ながら覆われた雲で日の出は拝めなかったけれど、弾む息の音を聴きながら、懸命に登った山頂へ至る道、下山する途中で眼下に広がった富士五湖の美しさ、今でも色あせず私の中に生き続けている。出来ればもう一度登ってみたいな・・・写真を眺め改めて思う。

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ここ福岡はずっと冬とは思えないほど温かい日が続いていたが、年明けの成人式ころからやっと本格的な冬が到来した。狭い庭の片隅にみかんをつるしたら可愛いメジロくんがやってくるようになった。いつもはひとり?で、時には仲間(つがい?)と、人の気配を感じるとすぐに飛び立ってしまうから、家の中からそ~っと撮影。可愛い~!!

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可愛い~!!と言えばディスコくん。喪失の悲しみを癒してあげたいと帰省した娘が作ってくれたディスコお守り?!ディスコくんのお姿をそのまんま刺繍してくれていて、感激。早速肌身離さないようにネックレス使用にしていつも一緒!でももう君はいない。寂しいね、、、

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この冬はそのディスコくんがいなくなってから、多分15年以上振りにアラジンのストーブを押し入れの奥から引っ張り出して使っている。ストーブの前に鎮座するディスコくんのためにずっとお蔵入りだったストーブは長い時を経ても変わらず青い炎で、部屋全体を暖めてくれている。(さすがに芯はアマゾンで購入して入れ替えました)風?が起きる暖房器具が苦手ゆえ、相変わらずの古典的?暖房器具がこの冬も我が家では元気に働いている。

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もうひとつの暖房器具はこたつ。私はゆっくり座ることはあまりないけれど、病いゆえ末端冷え性になった夫が最高にお気に入りの場所。亡くなったディスコくんも大好きだったな。去年まではディスコくんと場所を争って?いたこたつを今年は夫が独占している。こたつの天板は30年もの。今年はこたつ本体のヒーターを300Wの省エネタイプをアマゾンで購入して付け替えた。出来るだけ無駄な電力を使わないように、自然環境を守っていかなくへは!小さな力も集まれば大きな力にきっとなる。今年も小さいけれど確実な一歩一歩を、ゆっくり前に進めていきたい。始まりの時にひとり思ったこと。徒然なるままに。

2016年の終わりに思うこと

「2016年の初めに思うこと」で始まった私のささやかなブログ「パザパ」は「2016年の終わりに思うこと」で今年の最後を迎える。今年も明日で終わる。相変わらず忙しい日々でやっとほっとする夜は既に今年も残り1日に。2016年・・・・振り返れば本当に本当に大変な1年だった。私の長い人生の中で多分一番試練の多い1年だったように思う。今までそれほどの苦労もなくのほほんと生きてきた。そんな能天気な私に、これでもかの試練がこんなに押し寄せてくるなんて、この年の初め正直言って思いもしなかった。

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1月末、2年近く患っていた母が逝ってしまった。その最期の瞬間をひとり見送った。深い喪失の悲しみを抱えたまま、3月末、夫がかなり重篤ながんの手術を受け、1か月以上の闘病生活となった。夫を支えながら日々のレッスンをこなし、その合間に学会発表の準備をし、4月末には大宮であったヨーガ療法学会分科会「がんとヨーガ療法」で、がんセンターでの指導報告を行った。6月末には退院後の夫を連れて夫念願のフィンランドへの旅を決行。夫の体調を気遣いながら酷暑の日々を過ごし、9月末に娘の結婚披露パーティに上京。喜びのときを過ごしたその翌日、帰福した我が家でずっとずっと一緒だった猫ちゃんが急死した。

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人間万事塞翁が馬」・・・・故事そのものの1年だった。頑強な私でも、何度も挫けそうになった。そんな時、この故事を自分に言い聞かせ、こころの均衡を保ってきた。移り逝く悲しみや喜びを一喜一憂することなく、今出来ることに全力を尽くす。そう何度も言い聞かせての1年だった。喜びよりも、悲しみが一層多い1年だったから、人の温かさが一層こころに染み、そして人の痛みが我がことのように一層深くこころに響いた。やっと2016年が終わる。やっと!というのが正直な今の感想かもしれない。

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 今週初めには母の家に姉と一緒に帰った。母がずっと帰りたいと願っていた家の掃除をして、店の窓ガラスを磨き、母や父や祖父母が眠るお墓を掃除して、庭の木の剪定して・・・・姉とふたり丸二日間懸命に働いた。そんな娘ふたりの姿にお母さんは「はい、おおきにご苦労さん」と言ってるかな。夜は仏壇の前に布団を敷いて一人眠った。疲れ果てて爆睡だったから、残念ながら母の夢は見なかったけれど。

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喪中の正月をどんな風に過ごしたら良いのか随分悩んだけれど、母の一周忌が終わるまでは、静かに過ごしていたいと思うから、年賀状やお正月飾り、お節はなしにして静かに新年を迎えたいと思っている。だから一層去年以上に磨きに徹して、ピッカピカになった台所に、今年もありがと!来年もよろしく!と声をかける。ここは主婦の聖地!だからね!

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2017年、少しでいいから悲しみより喜びが少し多い1年あったらいいな。そしてちょっとだけでもいいから成長出来る自分でいたいな。ささやかな祈りにも似た思いと共に、新たな出会いと感動の2017年でありますようにとひとり静かに願う。そうだね、2017年も変わらずの一歩一歩・・・・

 

過ぎゆく日々に思うこと

2016年のカレンダーが最後の1枚になる週となったけれど、月日の流れに置いてきぼりになったまま、一人佇んでいる自分がいる。そうかぁ、もう師走なんだ!そう何度もつぶやいても、実感が全然湧いてこない。
そんな日々ながら先週末、3か月振りに母が眠る里山に帰った。母が旅立ってからこの家に帰ることがすっかり少なくなってしまった。「お母さん、ただいま~!!」と母に会いたくて帰っていた日々はもうすっかり遠い日々になってしまった。

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別府から姉夫婦が、東京から姉の娘夫婦も帰って来る。一気に賑やかになった家にきっと母も喜んでいるだろうなぁと、仏壇の前に座り「お爺ちゃん、お婆ちゃん、お父さん、お母さん、ただいま!」と手を合わせる。そうかぁ、やっぱりお母さんはあっちへ逝ってしまったんだ。今更ながらの思いに少し戸惑いながらも感傷に浸る暇なく、早々野良着に着替え、雨上がりゆえに蛭対策を万全にしてカボスの収穫へ向かう。親戚のおばさんからいくらでも採っていいよと言われ、我が家のカボスは後回しにして、高齢のおばさんが採りやすい低い位置を残し、手が届かない高い場所にあるカボスを収穫する。

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不安定な場所だから脚立を使うことは避け、手が届かないところは用心しながら木に登り、思いっきり手を伸ばし、鋏を手にひとつひとつ枝から落としていく。ヨガで鍛えた体が実践で役に立つ!無心でカボスと向かい合う。曇天ながら風もなく、寒くもなく絶好の収穫日和!?落としたカボスを背負いの籠へ入れて家までの道を歩く。重さは??30キロくらいかな??いやもっとかも!?丹田に力を入れ、一歩一歩確かめるように歩く。家に帰り用心しながら土間に降ろす。そして空になった籠を背負い、紅葉に染まる山を眺めながらが再びカボス畑?へ向かう。

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山里はすっかり秋色に染まり、吹き抜ける風は少し冷たく、「お母さん、今年もカボス、いっぱい採れたよ!カボスポン酢作らんとだね」母に語りかける、あの日のように。人という存在は無くなってしまっても、その魂は変わらずそこにあって、自然の懐は変わらず深く温かく、包み込んでくれているんだ!季節は廻り、変わらずに時を刻み、やがてこの私という存在が無くなった後も、ずーっと続いていくんだなぁと、山々を眺めながら不思議な感動にも似た思いに浸っていた。

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夜は福岡で材料をご用達したもつ鍋をみんなで美味しくいただいた。姉や姉の娘夫婦と夜遅くまで昔話に花が咲いた。いつもは静かな里山に一夜だけの花が咲く。その夜は祖父母や父や母がいる仏壇がある座敷に布団を敷いて一人眠った。夢の中で母に会いたかったけれど、残念ながら疲れ果てて爆睡!!
翌日はみんなでお墓の掃除をする。例年以上に温かく雨も多かったから、お墓は枯葉と苔に覆われていた。枯葉を集め、苔をそぎ落とし、少し綺麗になったお墓で蝋燭を点し線香を立て、静かに手を合わせる。「お爺ちゃん、お婆ちゃん、お父さん、お母さん・・・・」一人一人に語りかけながら。

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午後延岡市北浦にある宿「高平屋」へ向かう。東京から帰省している姉の娘夫婦歓迎会と、カボス収穫を頑張ったお疲れさん会も兼ねて、伊勢海老満喫の宿に泊ることにした。高台にある宿の部屋の向こうには海が!日豊海岸国立公園に面したリアス式海岸は日向松島とも呼ばれているとか。明日の朝の日の出が待ち遠しい!!その前に、もちろん伊勢海老も~!!

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 伊勢海老、ひむか本さば、一本釣り鯵、かんぱち、さざえ、、、最高でした。その他地元で採れた旬の野菜たちを使った料理の数々、どれも美味しくて、もちろん米粒一個も残さず完食!高平屋さん、最高!
この宿を紹介して下さり、予約も入れて下さった福岡、今泉にある「肉のたまや」さんに感謝!!

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翌朝は6時には起きて、窓の側の椅子に座りスタンバイ!昇りました!!刻々と変わる景色に見惚れ、感嘆のため息をつき、拝み、30分以上釘付けになっていた。「きれいだね、お母さん、見てるよね」朝食後宿の庭にある石のテーブル席で美味しいコーヒーをいただく。海を見るとあの水平線の向こうにある国へ行きたいと思う。来年はどこに行こうかな。

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晩秋から初冬へ、そして11月も終わる。相変わらず胸の深いところに寂寞たる思いを抱えたままだけれど、じっとしていると涙がこぼれそうになるけれど、しっかり前を向いて、あと1か月、2016年という波乱に満ちた1年の最後の日々を丁寧に過ごしていこう。そうこころから思う。変わらずの一歩一歩。

 

 

 

 

良し悪しも何もかも超えたときに・・・・・・

相変わらずながら月に一度の更新がやっとのブログ。すでに10月に突入し、台風の猛威にかき回されつつも、確実に季節は秋へと移り逝く。すっかり夕暮れが早くなった。今年の秋は例年以上に寂寥感に胸が塞ぐ。私には珍しいほどに。
先月は昨年末入籍した娘の結婚披露パーティがあり、この春の大宮学会以来半年ぶりに上京した。娘の仕事先近くにある青山のレンタルスペースを借り切っての会費制の手作りパーティは、参加されたみなさんの温かい思いがいっぱい溢れるすてきなひと時だった。幸せいっぱいの笑顔がキラキラと輝くほどに眩しい娘を見つめながら、彼女と初めて対面したあの瞬間から今に至る、長い長い日々を思い出していた。水疱瘡でボコボコ顔の1歳のお誕生日を祝ったあの娘が、綺麗なお嫁さんになって旅立っていく!!たくさんの友達に囲まれて、溢れるほどの祝福をいただいて!なんて幸せなんだろう。じ~んと胸が熱くなる。幸せの涙が溢れ、流れ、こころを熱く満たしていった。
最後は参加されたみなさんと記念写真。みんなの笑顔がほんとにいいね!!

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翌日、午後2時過ぎに乗るはずの飛行機は台風の影響で欠航になり、結局予定より1時間半以上遅れてやっと羽田を発つことになった。夜のレッスンは仕方なく休講することをお知らせするメールを送り、昨日からひとり?置いてきた猫ちゃんのことが何よりも一番気になりながら、冷たい雨の降る福岡へ帰り着いた。
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帰宅後いつものように「にやぁ~」と、出迎えてくれた猫ちゃんにほっとし、荷物を置くとすぐに汚れた猫ちゃんのトイレを片付け、夕飯の缶詰をあげて、大急ぎで夕飯を作る。すっかり歳をとり、足が弱って来てお座りが出来なくなってしまった猫ちゃんは、私が台所に立つとその近くに敷いているマットの上にごろんと横になって過ごすことが多い。しかし今夜は私が忙しくしていたせいか、所在なさげにうろうろと歩きまわり、あきらめたかのように最近の定位置である玄関の土間に横になっていた。

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夕食の片づけを終え、持って行った荷物を片付けていた時だった。玄関から「ウォ~~」と、今まで聞いたことのないような声が聞こえ、近所の猫が威嚇に来ているのかもと、夫に様子を見に行くように頼んだ。「ディスコがおかしい」という夫の声で慌てて玄関に行くと、信じられないことにディスコの命が終わろうとしていた。急ぎ居間に運び、お気に入りの座布団の上に置いてあげると、私の顔を静かに見つめ息絶えてしまった。
19歳のお誕生日まで後2か月ちょっとの夜だった。誰にも迷惑をかけず、一人静かに逝った。私が東京から帰るのをきっと待っていたんだね。そう思うと辛くて胸が張り裂けそうになるほど辛くて、少しづつ冷たくなっていくディスコの体を抱きしめながら、その夜はずっとずっと泣き続けていた。

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どんなときにも私の側に静かに寄り添い、私を慰め癒し元気づけてくれた最愛の存在を失ったことに、改めて気づかされている。たかが猫ちゃん、されど猫ちゃん。実は息子が飼っていた猫で、転居により飼えなくなり、勝手に連れ帰った猫ちゃんだった。なんせ人生初猫ちゃん、とにかく怖くて、毎日仕事から家に帰るのが怖かったっけ。どうやって触れ合ったらいいのか、試行錯誤の日々。やがて少しずつお互いに慣れていって、その距離が縮まり、3ヵ月後には待っている猫ちゃんのために、仕事が終わったら急いで帰る私になっていた。

あれから17年。最近ではすっかり足が弱り、ほとんど横になって過ごしていた。私が家にいるときはいつも私に寄り添うようにその体を横たえていた。触れ合っていたぬくもりが突然なくなってしまった。仕事に疲れ帰宅した家で、いつも変わらず待ってくれていたディスコくんはもういない。あまりにも突然の別れゆえに、整理できない思いを抱えたまま、見事過ぎる最期に「ありがと」とこころの中で言い続けている。私も出来れば君のように逝きたい。

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今年は母を送り、娘を嫁がせ、ディスコを送り、その他諸々、人生の良し悪しを見続けて来ての10月は、例年以上に寂寞たる思いが、胸を強く刺すように痛みを伴って押寄せてくる。浅い眠りに目覚めた夜中、逝ったものたちを想い、語りかけている。
「創造主の視点で自分を観ると、人生の様々な良し悪しも何もかも超えていける」今年の大宮での学会で療法士の方が語られていたそんな言葉が、私を慰め元気づけてくれる。神さまの視点で自分を観る。そうだね。涙を拭いてまた歩いて行かなくては!!秋の夜長、静かに自分に語りかける。

今週も変わらずの一歩一歩。

 

★最近読んだ本  「怒り」 吉田 修一著  「追いかけるな」 伊集院 静 著
★最近観た映画  「怒り」 李 相日 監督 

 

 

 

 

夏の終わりの京都旅

昨年の夏から、8月の終わりに1泊2日で京都に行くのが、夏の終わりの行事?となった。で、今年も8月どん尻の30日&31日、総勢6名のおばさまたちの京都気まま旅を決行した。今年は想像を絶する暑さゆえにかなり覚悟をし、しかも大型台風到来の予報もありで、旅立ちの朝まで大丈夫かな?と、気をもんだけれど、やっぱり神さまは日ごろの善行を見ていて下さった!!そんな自分勝手な思いと共に降り立った京都駅は、予想を反して穏やかに私たちを迎えてくれた。「涼しい~!」「人が少ない~!」荷物を駅前にある宿泊先のカウンターに預け、清水五条駅近くにあるお麩料理店「半兵衛」に向かう。

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途中、私の実家の総本山西本願寺に立ち寄り、母のことを報告しこれからをお願いする。あれはいつだったか、母と姉とこの場所に訪れた日のことを思い出しながら胸が熱くなる。岐阜からやってきた仲間とここで合流。彼女に会うのは4年振りくらいかな。変わらない笑顔に少し塞がってたこころ和む。

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中々予約が取れない半兵衛のお麩ランチは、最初珍しく、後半からやや食べ疲れ、でもこれぞ京都の味!!と、気合入れつつ堪能。お麩でいっぱいいっぱいのお腹を抱え、初日のメインである詩仙寺へ向かう。私の予測であった出町柳からの京都バスは日中はないことがわかったのは、京阪で出町柳に着いてから。いかん!事前リサーチが甘かった!!後悔しつつとにかくお寺近くまで行けるバスになんとか乗り込む。後は歩いて行くしかない。ごめんなさい!!こころで詫びつつみんなの先頭に立って歩く。この涼しさだからいくらでも歩けることに感謝しつつ。

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迷いやっとたどり着いた詩仙寺は思った以上にこじんまりしていて、白砂が美しいお庭がとても優しく私たちを迎え入れてくれた。紅葉のころには最高の絵巻を見せてくれるんだろうなぁと想像しつつ、緑色のコントラストに染まる庭も中々風情あり。
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広い庭を歩く。見上がればこの暑い暑い夏を耐えて、なお色あせぬ木々の緑に、紫陽花や、百日紅の花や、芙蓉の花が色を添えて、青空のスクリーンを背に微笑んでいるかのようだった。

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お隣の圓光寺では水琴窟が澄んだ音を奏で出迎えてくれる。禅の悟りの道を描いた「十牛図」があり、それを模した庭が広がる。

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静かに座す。緑の微妙なコントラストによって描かれた禅の世界を座して眺める。あるがままを見つめる。こころが澄み切った湖面のように、穏やかな静けさに包まれていく。
本当はもう少し先にある曼殊院まで歩きたかったけれど、「下鴨神社へ行きた~い」という声を優先して、タクシーで移動する。
上鴨神社と並んで京都最古の神社とされ、世界遺産にも登録されている境内では、各人自分の干支の神殿で手を合わせる。この時期特別公開されている本殿の見える場所で説明を聞き、パワースポットの庭でエネルギーをいただく。

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糺の森の入り口にある茶店で京都らしい、黒蜜をかけていただくかき氷をみんなで分け合って味わった後、森を歩く。マイナスイオンいっぱい!森から生まれる涼しい風が心地よい。あ~、今、私は京都にいるんだ!煩雑な日常から解放されて踊るこころを抱えて歩く。
その夜は鴨川沿いにある店で、乾杯~!!(と言っても、飲めるのは6人中2人だけ)本当は川床席で食べたかったけど、予約取れず。鴨川沿いの道は若者たちで一杯!!おばさんたちは一路ホテルへ戻る。

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翌朝は5時半起きで清水寺へ。早朝の清水は観光客も少なくて最高だった。いたのは中国人10名くらい。清水の舞台からの眺望も、霊験あらたかな音羽の滝も独り占め!!こんな静かな清水寺は初めて!(早朝の清水寺、おすすめ!です。)

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朝食はイノダ本店に異動して、憧れの?モーニングをいただく。7時半過ぎの店内はすでにほぼ満席。学生時代から変わらない店に、すっかり変わってしまった私が、当時は決して食べなかったであろう高価な?モーニングを食べる。学生時代夜行バスに乗り、早朝の京都に着いた後、必ず行ったのがイノダコーヒー本店。あれから45年以上の月日が流れたなんて。感慨に浸りつつ、完食!!

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ホテルに戻り荷物をカウンターに預け、鴨川沿いのバス停から大原へ向かう。「京都、大原、三千院、恋に疲れた女がひとり~」という歌があったな~。大原を訪れたのはいつだったか思い出せないほど、きっときっと昔のこと。約1時間後、大原に到着。三千院に続く道を歩く。かっての記憶を取り戻したかったけれど、結局何も思い出せないまま。

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最澄比叡山に結んだ草庵が始まりと言われている「三千院」。重厚な趣の御殿門をくぐり、院内へ。
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客殿の座敷から眺められる「聚碧園」。緑の庭に差す光が微細なコントラストを描くさまを、静かに座し見つめ続ける。
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作家、井上 靖が「東洋の宝石箱」と絶賛したといわれる有清園では、緑色の絨毯のような苔の中で微笑むわらべ地蔵たちに出会う。その可愛いお姿に見惚れる私の顔も微笑む。

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有清園に佇む「往生極楽院」の阿弥陀三尊坐像も素晴らしかった。手を合わせ目を閉じ、こころから祈る。昨日から何度こうして手を合わせて祈っているのだろう。京都に来るとこころが優しくなる気がするのは、きっとこうして手を合わせて祈る場所がそこかしこにあるからなんだろう。自分と神さまとずっと近くにその存在を感じられるからだろうな。

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下界?に戻り、祇園の街を散策後、京都駅でお土産を買い、夕方、快速で新大阪へ向かい、駅中の「だるま」で串カツを食べ、やっとやっと博多へ向かう新幹線に乗り込む。新幹線の中でも疲れを知らぬ?おばさまたちの元気パワー全開!!

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夏の終わりの京都旅。いつもこんな風に、神さまを感じながら生きていけたらいいな。そうしたらもっと優しい私になれるかも。賑やかな仲間と元気に楽しく過ごした二日間は、かなりの駆け足で過ぎ去ってしまったけれど、私のこころはとてもゆっくりとしたことに改めて気づく。良い旅だったな。一緒に歩いてくれた仲間たちに感謝!!来年はもっと進化した?旅、企てますよ。そのためにも体力アップ!は必須!

始まったばかりの9月も、変わらずの一歩一歩。ささやかながら確実な一歩を進めるために、変わらずの努力を続けていこう。

★最近読んだ本   「コンビニ人間」  村田 沙耶香著

          「夜を乗り越える」 又吉 直樹著

★最近観た映画   「奇跡の教室 受け継ぐ者たちへ」 

                      マリー・カスティーユ・マンシオ・シャール監督