パザパ

パザパ pas a pas ・・・フランス語で一歩一歩。頑張らずでも一歩一歩前に進める日々を願って・・・

こころ尽くせばきっと伝わる・・・・

博多の街は山笠が終われば夏が来る!という決まり?があるのだけれど、今年は山笠が終わっても梅雨明けず、季節外れの台風もありで、お天気読めないまま気が付けば7月も残り10日ちょっとになってしまった。かぁ~と晴れたと思ったら、突然の雨雲、そして突然の雨。不安定な気候が続いている。

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ヨーガの指導者として相変わらず忙しい日々、加えて母の病状の悪化もありで、そういえば最近お友達とのランチも、遠出のドライブも、気ままな旅も、いわゆるお楽しみの時間が全くなくなっている。知人から届いたバリの写真を眺め、バリかぁ・・・と呟き、バリの風を想像してみる。そんな今を少し寂しいと思う気持ちも正直あるのだけれど、それ以上に、この歳になっても、必要とされてる場所があり、私を必要と思ってくれる人がいて、それって幸せなんだなぁと改めて思う。
かっての日々自分が好きなように勝手気ままに生きてきた私だったから、晩年?は人のために生きなさいと、神さまがきっと言ってるんだろうな、最近つくづくそう思う。

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月に2度、九州がんセンターでがんの患者さんにヨーガ療法を指導する日々が今年の4月から始まった。参加される方のほとんどが入院患者さんで、毎回初めて参加される方が多く、その指導方法を毎回模索する日々が続いている。抗がん剤の投与でその副作用と闘っている方、手術後の体の痛みを抱えている方など、懸命に今、がんと闘っていらっしゃる患者さんに、私のヨーガ療法がどれだけお役に立てるのか、自問しつつ、こころを砕き、参加して下さったみなさんを見つめながら、懸命の指導を続けている。

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元気パワー全開で臨む私ながら、それでも指導中時々気持ちがくじけそうになる時がある。体の不調が明らかに見える患者さんがいたり、私の問いかけが届いていないんでは?と思うと、実に情けないことに私はとても不安になる。こんな指導でいいんだろうか??間違ってない??戸惑い始めると必ずもう一人の私が現れる。「和子さん、かなり焦ってますね!誰か代わって欲しいって今思ってますね?!でも残念ながらそんな人はいないんです。そう、あなたしかいない!!頑張りましょ!」
その声が聞こえると私ははっと気持ちを立て直す。迷っている場合じゃない!!とにかく懸命にこころを尽くそう!そう気持ちを切り替え、そして再び指導に集中をする。そんな私の情けない一面を話すと、私のヘルプで参加してくれている後輩の療法士さんから、「え~!?全然そんな風には見えないです」と言われる。実はとても繊細で気弱な人なんです!!私は。

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 「こころが軽くなりました。」「リラクゼーションの意味を初めて知りました。」「体もこころも温かくなりました。」教室が終わり、参加されたみなさんから寄せられる言葉が、笑顔が最高のご褒美。こんな私でもお役に立てたことが、本当に嬉しくて、また頑張ろう!といっぱい背中を押してくれる。こころ尽くせばきっと伝わる!・・・そう思う。本当にそう思う。

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三連休の最終日、久しぶりに夫とお出かけした博多駅丸善で本を2冊購入。今更ながらのスムージー本は、夏になると食欲減退する自分のために、朝食は野菜や果物いっぱいのスムージーで乗り越えようという思惑ありで。古井由吉さんはもう何十年も追いかけてきた作家のひとり。言葉の深さと美しさを教えてくれた人。一字一句大切に読み進んでいこう。

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夏休みはいつも母が住むあの村に帰っていた。あの家で祖父を送り、父を送り、祖母を送った母は、今は別府の病院にいる。去年は母を連れて帰れたあの家に、今年は母と一緒に帰れるだろうか??もうすっかり弱って、立ち上がることも出来なくなったから、帰るのは無理かもしれないな。悲しいね。命を想う。そうだ、お墓のお掃除に帰らなくては。
いろんなことを受け止めて、前に進まなくてはと、自分を励まし、訪れた暑い夏を始める。そう・・・・こころ尽くせばきっと伝わる・・・今週も変わらずの一歩一歩。

あなたのことを想っています。

梅雨真っ盛りの6月を「水無月(みなづき)」とは、なぜ??調べたら「無(な)」は連帯助詞の「の」を意味して「水の月」という意味だとか。なるほど・・・・で、梅本番の今、九州南部は大雨が続いているけれど、北部の福岡ではあまり雨も降らず、湿度も高くない日々が続いている。でも今日は雨。そして気が付けばすでに7月、文月。今年も半分が過ぎ去ってしまった。博多の街は飾り山の時を迎え、これから祭り一色の夏へ騎り始める。

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自分の今と静かに向かい合う「パザパ」時間を、出来るだけ持ちたいと願いながら、結局6月は一度も更新できずに終わってしまった。忙しいヨーガライフに加え、高齢の母がまた再びの肺炎で、ここ一か月ほど仕事のない日&月曜日は。母が入院する別府の病院に通い続けていた。母の症状は相変わらず予断を許さない不安定な状態が続いているが、「今週末は来なくて大丈夫だよ」との姉の言葉に甘え、昨日の日曜日はほとんど一か月ぶりにゆったりとした休日を過ごすことが出来た。さて、溜まった家事を片付けて、ゆっくり読書をして・・・・と、張り切っていたのに、どうしたんだろう?鉛のように体が重い。眠い。さすがの私もついにダウンか?!結局なんにもできないまま、ひたすら眠り続けた。こんなに眠ったのはいつ以来だろう??で、あっという間に日曜日が終わった。

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やっと復活した夜、「そうだ今日は父の命日だった」と気づいた。今から17年前の父の日の夜、父の日に送ったプレゼントのお礼の電話が父からかかってきた。「ありがとう」・・・・腎臓がんの手術後人工透析の日々となってから、父の声はか細くなって、会話も短くなっていた。そしてそれが父の声を聴いた最後だった。
2週間後の7月5日の早朝、隣に寝ていた母も気づかないまま眠るように旅立った。
公務員で、経理の課長と務めていた父は、とにかく几帳面な性格で、なんでもきちんと整理し、ノートに細かに記録していた。大学時代、親元から離れて暮らしていた時もまめに手紙をくれたのは父であった。そしてとにかくお酒が大好きで、酔うと踊ったり歌ったり、陽気な父に変身していた。そんな酔っ払いの父が嫌いだと思った時もあったな。

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でもそんな父の気質をそのまんま受け継いでいる私がここにいる。おおざっぱな自分の中に結構几帳面な自分がいたり、書くことは嫌いじゃないし、もちろんお酒も強い!ただイケメン?の父に比べたら顔のパーツは全く似てないけれど。
「どうかお母さんの症状が少しでも楽になりますように!笑顔が見えますように!」眠る前、ここんとこずっと夢に現れない父に、そうお願いした。

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 そんな父が生前溺愛していた孫、つまり私の息子が信じられない偉業?を成し遂げた。京都比叡山で開催された「比叡山トレイルラン」に初挑戦し、なんと完走。参加者のほぼ半数が完走を果たせなかった過酷なレースで、順位409番、11時間という制限時間の33秒前のゴールだった。ダントツビリながらその凄まじい挑戦の一部始終を記した記事が、トレイルラン専門誌「RUN+TRAIL」に掲載された。
私と同じく運動神経ゼロ!体を動かすなんて無縁の世界にあった息子が、信じられないほどの過酷な世界に挑戦をし、ボロボロながら完走した。すごいね!きっと天国の父もそう思っているよね。
人はね、その気になって懸命に頑張ったら、何でも出来るんだね。でもその人を支えてくれる人とか、その人の大事な人への想いとかあるから頑張れるんだよね。母から父(祖父)へ、祖父から孫へ、そしてその家族へ、関わっているみんなへ・・・熱いメッセージが繋がっていくことを想う。

久しぶりの「pas a pas  パザパ」。庭に実る夏野菜の写真と共に、私や私の家族や私を支え励まして下さっているみんなに、感謝の気持ちいいっぱいいっぱい抱いて、今週も頑張ります!!変わらずの一歩一歩。

でも、私は負けない・・・・

先週末は神戸、大阪、京都の三都物語(かなり古い?!)の人だった。神戸は年に1度のヨーガ療法学会出席のため、大阪は学会終わった夜のお泊りで、京都はついでながらのちょい観光で、姉と二人、3泊4日の旅を楽しんだ。

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しかし学会は本当に中身が濃い!!今回は「がんと向き合う~ヨーガ療法の可能性」というメインテーマで、アメリカのMDアンダーソンがんセンターのコーエン教授をはじめとしたがん医療の研究者の方々の実に貴重な講演に、まさに学びの2日間を過ごした。

朝8時から夕方6時近くまでびっしりと講義や発表が続き、頭いっぱいいっぱいで理解力追いつかず集中力も途切れつつ、時折襲ってくる眠気とも闘い、ある意味ヨーガ修行の場でもある。
今年4月からがんセンターのがん患者さんに定期的にヨーガ療法指導を行っている身としては、先生方の講義すべてが実に深いところに響いてくる。その一言一言を聞き洩らさないように、必死でノートを取り続けた。

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がんは今や生活習慣病のひとつに数えられ、高齢化が進む今、人が一生涯の内でがんに罹る確率は男性では2人に1人、女性では3人に1人だと言われている。しかしがんは医学の進歩により早期発見早期治療を行えば、恐れる病ではなくなった。

そんながん患者さんの身体的健康、こころの健康、そして精神的健康向上にヨーガが役立つことを、コーエン先生は研究論文で詳しくお話しして下さった。特にヨーガを行うことで、治療に伴うストレスホルモン、コルチゾールの分泌を軽減する効果が大きく、それがつまり、がんを発症しても死に至らない、生存率を高めることに繋がっているという。つまり病気になっても病人にならない力をヨーガは与えてくれるのだ。

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ヨーガ療法がいかにがん患者さんのQOLを高めることに効果があるか、現場での指導で実感をしているものの、確かなエビデンスを元にした先生方の講義は、私の背中をしっかりと押して下さり、さらに前に進む力を与えて下さるものであった。

この学会で症例報告を行い卒業する後輩療法士たちの発表のお手伝いをしながら、4年前、札幌の学会で壇上発表をした日のことを思い出していた。あの時の必死な思いを今も私はなくしていないか?後輩たちの懸命な眼差しに、またきっと学会で症例発表出来るような仕事しなくては!!そう改めて思った。ヨーガ療法士としての原点に立ち戻る・・・・学会はそんな場所かもしれない、そう改めて思った。

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2日間の学会が終わった夜は大阪へ移動して、しっかりと道頓堀の大阪グルメを味わった。串カツ&たこ焼き!食い倒れ大阪を満喫。しかしなんでこんなに多いん外国人!!串カツ屋「だるま」の行列も、「あっちち本舗」のたこ焼き屋の行列も並んでいた人の多くは外国人、しかも中国人&韓国人!恐るべしツイッター威力!

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最終日は京都へ!「春の非公開文化財特別公開」の時ゆえに、下鴨神社と、廬山寺の2か所のみに絞って散策した。下鴨神社では公開された神さまの食事を調理した建物のお供えや調理器具を眼にし、悠久の歴史にこころを躍らせた後、世界遺産の新緑に萌える森をゆっくりと散策した。真っ青な空に萌える新緑!最高のお散歩だった。
紫式部源氏物語を執筆したといわれる廬山寺では、特別公開の元三大師坐像や御前鬼大師像を拝顔し、こころ洗われる時間を過ごした。
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お昼は祇園で美味しい京料理をお腹はち切れるほどいただき、四条河原町のデパートでしっかりと可愛いパーカーも買い、すごい人で大賑わいの錦市場もそぞろ歩き、僅か6時間にも満たない滞在ながら、めいっぱい動き回り、かなり充実した京都の休日を過ごすことが出来た。

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もちろん帰りの新幹線では買い求めた東海道新幹線弁当を食べて即爆睡!スイッチオン&オフ。巧みな切り替えが出来るから、こんなに元気なんだと改めて思う。それもこれもヨーガのお蔭。
相変わらず毎日、頭を抱え込みたくなるようなことが次々に起きて、休む暇のない日々が続いている。落ち込むことも多いけれど、落ち込んで止まっている暇がない。だから、とにかく歩くしかない。こころを奮い立たせ次の一歩を始めるしかない。大きな試練の時が訪れているのを感じる。でも私は負けない!!
今週も一歩一歩、一日一日を大切に生きていこう。
今月末に予定していたカイラス山の巡礼の旅は、ネパールの大地震のため中止になった。彼の地の平安を祈るばかり。

☆最近読んだ本  「獣の奏者」 Ⅰ~Ⅳ  上橋 菜穂子著

 

 

万緑のときを迎えて

桜を見送ってから早くも1か月近い日々が過ぎ去り、すでに4月も終わりを迎えている。新緑に野山萌え、まさに覆い尽くすさまを「万緑 ばんりょく」というらしい。春から一気に初夏へ。
ここ福岡も快晴続きのピーカン日和が続き、夏日を早くも更新した日曜日。やっと仕事&雑事から解放される久しぶりの日曜日は、出来るだけグータラにひたすら惰眠をむさぼるのが何よりの幸せ。そんな幸せも最近はとんとご無沙汰の状態で、日曜日は朝から月に一度、ヨーガ療法士を目指して学ぶ後輩たちのお手伝いに参加。
所属するスタジオの会員さんが勉強をされていることもあり、もう1年以上お手伝いをしている。ここんとこずっと日曜日は用事があって家人の相手?も出来ずだったので、今日は午前中のみのお手伝いで帰らせてもらった。

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で、お昼は博多湾近くの魚市場の側にあるお魚会館で、お寿司三昧!満幅のお腹を抱えながら会館裏まで足を伸ばし春爛漫の海を眺める。眩しいほどの日差しの中、真っ青な空と溶け込む海は限りなく春色。

満腹になったら次はそれを消費しなくては!!とばかり今度は山へ向かう。海も山も車で30分で移動できる福岡は1日で両方を十分に味わえる地の利は自慢してもいいかな。

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向かったのはいつもながらの油山市民の森。上の駐車場はすでに満杯で下の駐車場に車を停め、足に重りを装着し、リュックに水や飴を入れていざ出発!!しかし暑い!日陰を探して歩く。上の駐車場では鯉のぼりが真っ青な空に心地よさそうに泳いでいた。「そうかぁ、皐月の時だよね」

「油山山頂まで登ってみる?」「いいけど・・・」やや渋の夫の返事ながら山頂への道を歩き始める。どこを見ても萌えるような緑に覆われて、まさに万緑!!整備された登り道ながら結構勾配がきつく、重りを付けた足は一層重くなる。何度も汗をぬぐい水分補給をする。頂上までの道を三分の一登ったところで夫がギブアップ。この暑さでは仕方ないと無理せず下る道へ。

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この下りも結構急で、膝を痛めないように注意しながらやっと市民の森へ降り立つ。後は油山牧場まで行ってソフトクリームを食べ、また万緑の中ゆっくり歩いて駐車場へ。結局約2時間ちょっとの山歩きだった。暑い日差しの午後だったから、これくらいで良しだよね!と思い直しながら、重りを外したら雲の上を歩いているかのように?軽~くなった。2年前インドの聖地ガンゴトリーからゴームクの高地へ行き、地上?に戻った時のあの軽さを思い出した。

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実は5月末にネパールの北西の中国チベット自治区にある聖地カイラス巡礼の旅に出かけることになっている。標高6656mのカイラス山は神が宿る信仰の山として登頂は出来ないけれどカイラス山の周り(52km)を2泊3日で回る。標高4,520mから地上の半分しか酸素がない標高5,650mまで歩く旅。ヒンズー教徒やラマ仏教徒、そしてボン教徒にとってまさに聖地中の聖地。私は何教徒でもない。でも神が宿る山を見てみたいし、神に近づく場所に身を置いてみたいという思いから、この旅に参加することを今年の初めに決めた。
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そして後1か月とそんな旅が迫ったところで、信じられないようなネパール大地震が起きた。その被害は日々が過ぎ去るごとに拡大している。ずっとTVのニュースから目を離せない日々が続いている。そして祈り続けている。
出来れば1か月後、カトマンズを経て聖地カイラスへ至り、聖地巡礼の旅を成し遂げたい!!それは己の我ではなく、抱えてる人たちの救いと繋がる旅であるかと思うから。
本当にそうなのか?こんな時期に無理をしていく意味があるのか?自問する。そして何よりも被災された人たちが一日も早く心休まる夜を迎えられますように。
祈るのみ。願うのみ。そんな揺れ動く思いを抱えながら、とにかく一日一日を丁寧に、変わらずの一歩一歩。

 

 

さよなら 弥生三月

早くも春爛漫、桜咲く3月も最終週末。「久しぶりに植物園とかに花見に行かんね」と夫くんのお誘い。「すいません、今週末も忙しいんですわ!」週末の夜は送別会で遅い帰宅後、すんなり眠りに入れないままでかなりの寝不足ながら、翌日の日曜日にはかなり頑張って早起きをした。月一度開催されるYTIC講座で、ヨーガ療法士を目指して学ぶ方たちのお手伝いに、早朝から丸一日缶詰状態で過ごした。
もう6年くらい前になるのかな、私もかって同じように学んだ日々があった。過ぎ去った日々を思い、あれから私はどれくらい成長したのかなと、自分の原点に向かい合った1日でもあった。

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寒々の日々から信じられないほどに気温は上がり、いつの間にか春になり桜は咲き、満開の時を迎えている。写真に撮ってその美しさや素晴らしさが、一番見えないのが桜かなと思う。桜にはきっと魂が宿っていて、それが画像では現れないんかも知れんよね!そう思う。
週明けの月曜日はトレーニングも兼ねて、福岡城址まで歩いて行って満開の桜を見て来よう!そう思って足に重りを装着し、リュックに水も入れて気合入れて出かけた。多分1時間半以上の道のり。歩き始めて40分後、友人からメールが入る。「お花見行かん?」「ごめん、もう歩いて向かってるんよ」「え??歩いて??」「車で拾うけん、場所教えて!」で、道半ばで友人の車に拾われて、満開の桜を二人で歩き今年の桜を満喫した。トレーニングは中断されてしまったけれど、桜は一人で愛でるより、やっぱ二人がいいかも!と思ったり。

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ほとんどの日々をヨーガの指導を生業として過ごしている。私のヨーガは体へのアプローチ以上にこころに問いかけ、ヨーガの深い世界観などを言葉で伝えることがとても多い。つまり人前で熱く?思いを語り続けることを毎日のように繰り返している。だから私の別名は自称「語りのNINO」!?!
一応国文学を専攻した短大時代から、ずっとかもしれないけれど自分の思いを伝える言葉、人に気づきをもたらす言葉にこだわって生きてきた。ゆえに思いを伝える言葉の引き出しは大切にしてきた。言葉の根源である言霊(ことだま)・・・その人の魂から生まれるのかなと思っている。

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 本を読む。音楽を聴く。絵画を鑑賞する。たまには描く。そして映画を観る。私の大好き世界のすべては、そんな言葉の引き出しを増やすことに繋がっているように思う。特に映画は私の人生の師と言っても過言ではない。
そんな私のシネマライフ、先日観に行ったのはチャン・イーモウ監督の最新作「妻への家路」。1987年の「紅いコーリャン」以来、「秋菊の物語」「紅夢」「あの子を探して」「初恋の来た道」、そして高倉健を主演に迎えた、『単騎、千里を走る。』など、もう30年近く観続けて来た。主演は「紅いコーリャン」や「紅夢」など長い間イーモウ監督作品で主演してきたコン・リー

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文革で引き裂かれた夫婦、夫の記憶だけを無くした妻。やっと帰り着いた我が家で、夫として迎えられない辛さを抱えながら、そんな妻の記憶を何とか取り戻そうと奮闘する夫。愛する妻の側にいるのに、他人として見守るしかない悲しみ。歴史の荒波に翻弄され、一度しかない人生を重い荷物をしょって生きなくてはならなかった家族。人はそんな過酷な現実の中でも、愛する人のために懸命に生きるという不変の思いを貫いていく。「あなたはそこにいますか?そこにいる今をちゃんと受け止めていますか?愛する人のために生きていますか?」観る者の今に静かにそして深く問いかけてくる重厚な作品だった。

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私の人生に大きな影響を与えてきた映画をはじめ、その歴史が生み出していった様々な文化にずっと影響を受けて来たのが実は隣国中国だったことに改めて気づく。
そんな中国という国の間に、中国残留孤児という存在があったことを、今、どれほどの人が記憶に止め、忘れずにいるだろうか?
戦後、中国の大地に残された孤児たちのことを、そんな子供たちを実の子供として育ててくれた中国の人たちのことを、そんな時代に翻弄された人たちのことを、丁寧に描いた初の日中合作のドラマ、「大地の子」を知っている人、またはリアルタイムで見た人はどれほどいるのだろうか?

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今から20年以上の前にNHKで放映された「大地の子」は当時話題となった秀作のドラマだった。そのチーフプロデューサーであった河村正一さんは、実は高校時代、所属していた新聞部の部長だった方だった。

大地の子」は山崎豊子さんの原作を元に、中国残留孤児となって中国人の養父に育てられた陸一心を主に、戦争という歴史の荒波に翻弄されながらも、国という垣根を越え戦争という荒波を超え、人としての深い愛を貫いた人々の姿をとても丁寧な想いと共に描いたTVドラマの金字塔ともいえる作品であった。

f:id:chezk087:20150305110021j:plainそんな「大地の子」の制作秘話をドラマのチーフプロデューサーであった河村先輩がまとめ、昨年末に出版されたのが「もうひとつの大地の子」であった。厚かましくもお願いして送っていただき、時には涙しながら読ませていただいた。
初の日中合作ドラマであった「大地の子」制作にあたっては、想像を絶する苦労があったこと、現地でのロケでの様々な苦労、トラブルなどなど、さらに神がかりとも言えるような奇跡的な出来事、真実の涙・・・・私たちがお茶の間で観ているドラマがどれほどのスタッフの努力で、その結晶で出来上がっていることを深く気づかされ、また一層の感動をもたらしてくれた本であった。

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高校時代夢中で暗記した漢詩、読み漁った孔子老子の思想、ずっと観つづけて来たチャン・イーモウ監督作品、そしてドラマ「大地の子」で知った中国の人たちの深い愛。PM2.5や黄砂で霞む空に、悩ましい春の日、急成長を遂げる今の中国と、かっての思いが重ならなくなってしまっていることに戸惑うばかり。
隣国に学ぶ。失ったものをもう一度取り戻すために、私たちは今、何をしなくてはいけないのか。何を大事に生きていかなくてはいけないかを。私に問いかける宿題がまたまた増えてしまったけれど、問いかけ模索することが私の成長に繋がるように思う。え??この歳になってもまだ成長したいん??!!人生死ぬまで修行!です。

明日は雨の予報。桜散らす雨にならなければいいけれど。今日で3月が終わる。明日から4月。始まりの4月。新たな思いを胸に、一歩一歩丁寧に歩いていこう。

▼最近読んだ本  「もうひとつの大地の子」 河村 正一著
        「吉野 弘 詩集」 吉野 弘 著

        「火 花」 又吉 直樹 著

▼最近観た映画  「妻への家路」 チャン・イーモウ監督 

2月にこにこ・・・

1月がいっときかと思える速さで終わり、にこにこの?2月がやってきた。相変わらず冬の重い雲に覆われた空ながら、狭い庭の枯れ木にいつの間にか芽吹きが訪れ、冬から早春へ、季節のバトンが渡されるときが近づいている。
それにしても寒い!こんな時は炬燵が一番。猫ちゃんと一緒に丸くなりたい!走り続けていた年末年始から、本当にやっと、ひと息つく2月の始め。

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そんな寒い日の夜、半年前から楽しみにしていた辻井伸行さんとヴァシーリ・ペトレンコ指揮のロイヤル・リヴァプール・フィルの演奏会に行った。昨年夏のピアニストというコンサートで、辻井さんのピアノにすっかり魅せら、今回はオーケストラとの競演、しかもあのラフマニノフのピアノ協奏曲第3番を弾くと言うので、大奮発?!のS席をゲット。

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 なぜだろう、彼の奏でる音を聴いた途端に熱い涙が込み上げてくる。魂に響くからだろうか。45分にも及ぶ演奏が一瞬であったかのように思えた。アンコールで弾いたオリジナル曲でも、涙腺が緩みっぱなしだった。

 

ヴァシリー・ペトレンコの指揮するロイヤル・リヴァプール・フィルの演奏も素晴らしかった。圧巻だったというべきか。ぐんぐんとすごい勢いで迫ってくる。
ロシアの雪原を疾走する馬車や、荒寥たる大地に昇る太陽や、私の頭の中にさまざまなイメージが湧き上がり、その渦の中に呑み込まれていく。ずっとこの世界にいたい!そう何度も思った。
「人間にとっていちばん贅沢なのは、心がふるえるような感動」・・・「旅の途中で」(高倉 健 著)しあわせな時間だった。
すっかりペトレンコのファンになり、CDも購入!以来、ずっと聴き続けている。

 

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 圧迫骨折で入院していた母が、風邪をこじらせて肺炎を併発してしまい、もう2週間が過ぎようとしている。お正月には歩いてトイレに行けるまで回復していたのに、寝たっきりになってしまった。離れているので中々会いに行けないけれど、たまに行った時はずっとベットの側に座り、母と一緒の時を過ごす。話しかけても辛そうだし,うとうとと寝てばかりいる母を見るのは辛く悲しいけれど、こんな風にずっと母と一緒に過ごせるって、しあわせなんだと思ったりもする。2月で88歳になる母。ずっとは無理だとわかっていても、また元気になって欲しい。

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あまりにも空が綺麗だったから、母の病院に行くバスを途中下車して、海岸沿いに歩いた。山はまだ雪で白い地肌を見せていたけれど、空も海も、もうすっなり春色に変わっていた。深呼吸を何度もした。いっぱい写真を撮って母に見せた。

春になったら、お母さんと一緒に木浦に帰ろう!きっと帰ろうね。
春になったら・・・・いろんな思い胸に、今月もゆっくり丁寧に、一歩一歩!

◆最近読んだ本  「木暮荘物語」  三浦 しをん 著
         「もう一つの大地の子」 河村 正一 著 
      (この本については次回詳しく語りたいと思っています。)

年明けに思うこと

2015年が始まった。昨年末の27日まで仕事をして28日から年明けの今日5日までの1週間ちょっとの冬休み?!ながら、結局1日もゆったりする時間がなく、毎日忙しくでも楽しく過ごしました。年末の30日に娘と息子夫婦が帰って来て、大晦日は5人で賑やかに、いや大騒ぎをしながら、例年以上に賑やかで楽しい年越しだった。

私の田舎は年取りと称して、31日の夜にお節を食べる風習があり、それを我が家でも結婚以来続いている。今年は昨年同様、市内のホテルご用達?のお節に、我が家伝承??のお節が並ぶ豪華版になった。

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 結婚後初めてお節作りにチャレンジしたお嫁さんは、娘の指導?の元、伊達巻に挑戦!二人の楽しそうな姿を眺めながら、バトンタッチ成功!と、一人にんまりの母。はんぺんと卵で作る伊達巻はホテルの伊達巻より何十倍も美味しかった!!「手作りしたものが美味しいのは、愛情のスパイスがいっぱい入ってるからかな」娘の言葉に「だ、ね!きっと!」

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明けた元旦は朝から雪が降り続ける最悪の天候。別府への高速道は通行停止。別府の病院に入院している母に会いに行くためには、いつもの倍の時間をかけて遠回りをしていくしかなく、まぁそれも新年早々の試練!と、果敢に?受けて立ち、いつもの倍の時間をかけて夕方やっと病院へ到着した。
歩けなかった母が立ち上がり杖を使ってトイレに行くまでに回復していることを嬉しく思い、相変わらずまだらボケのトンチンカンな会話も母らしく、息子夫婦から預かった京都の蛸薬師寺のお守りを母に手渡して、元旦の一日が温かい思いと共に過ぎていった。

翌日の二日はお昼前に病院に行って、母と一緒にお昼を食べ、帰るまでの時間を母と二人でまったりと過ごした。「夢を見たんよ」語る夢の世界はもう何回も聞いた話。小さいころ祖父に連れられて別府に湯治に行ったこと。そこで買って貰ったアンパンのこと。母はそんな幸せな昔々に生きてるんだと思ったら、なんかこころがほんわかと緩んだ。壁に張り付けられた「お守りを昨日から何度も見てるよ!」健康回復お守りのご利益に私もこころの中で手を合わせる。
リハビリに行く母を見届けて、また来た道を同じようにいつもの倍以上の時間をかけて我が家へ帰った。

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翌日の3日は住吉神宮に初詣に行く。大きな熊手で福をいっぱいかき集められる1年になりますようにと、鳥居の左右には大きな熊手の飾りが。引いたおみくじは昨年同様「大吉」だった。「こころを素直にし身持ちを正しくすれば、ますます運よろしく何事も思うままになるでしょう。欲を離れて人のために尽くしなさい」

今年から「がんセンター」で月二回のがん患者さんへのヨーガ指導が始まることになった。本当にヨーガを必要としている人に、私のヨーガが役に立てるとしたら、それにこれからの自分を捧げたい、そんな思いを改めて確信し、身が引き締まる思いだった。今年、私は、私を必要とする誰かのために、懸命にこころ尽くして生きていこう。
猫ちゃんを見ているとこころが優しくなる。私がこころの穏やかさをいつも保っていれるのは、ヨーガと猫ちゃんのお蔭かな。

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実は新年早々、新たな試練が大きな口を開けて待ち受けている。負けないよ!と何度もこころの中で言ってみる。試練は新たなるチャレンジ!きっと乗り越えて、もっとビッグになるよ!と叫んでみる。大丈夫!私はきっと乗り越える。気合十分な私の側でディスコくんは変わらずに和み姿勢で横たわる。

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京都に住む息子夫婦も最近猫ちゃんを飼い始めた。名前は「八」その面構えが中々良い!ひと目ぼれした。動物は愛を裏切らない。そう思う。そしてその佇まいが無言で頑張れって!言ってる気がする。あくまでも独りよがりの思いだけど。
こころ穏やかで、あまり多くを求めずに、今年は例年以上に、こころの景色を大切に、ゆっくり、そして丁寧に過ごしていこう・・・そうしみじみと思う夜。始動再開の前夜。

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今年も変わらずの一歩一歩・・・例年以上に大切に歩いていこう。